巨人が苦しみながらもサヨナラ勝ちで連敗を4で止めた。

8回にヤクルト青木の3ランで同点に追いつかれたが、9回無死一、二塁から代打重信が左翼越えに二塁打。京セラドーム大阪のマウンド付近でもみくちゃになった。敵地広島で3連敗した嫌なムードも吹き飛ばし、原監督の通算1000勝まであと2勝となった。

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連敗脱出への一手は「5番」だった。巨人原監督が打順を動かした。好調だった1番亀井を5番に据え、1番には若林を下位打線から繰り上げた。今季初めて同一カード3連敗を喫した広島戦から場所を大阪に移した前日22日に「5番と7番が機能していない。そこだろうね」と予告していた。東京五輪までちょうど1年。五輪…ではなく“五番”に活路を探った。

開幕から82試合目で72通り目のオーダーがいきなり躍動した。1回、先頭若林が左前打で出塁。坂本勇が四球でつなぎ、1死後に岡本がしぶとく一、二塁間を抜く右前適時打で先制した。なお一、三塁からキーマン亀井が「打ったのはチェンジアップ。ラッキー打法!」と遊撃適時内野安打で追加点。さらに陽岱鋼、大城の連続単打、小林の押し出し死球で、4点を先取した。さあ、五輪だ! と言わんばかりの5安打を集めた。

ペナントレースを勝ち進むと同時に節目も迫ってくる。ここまで997勝を積み上げた原監督の通算1000勝はすぐそこだ。14年以来5年ぶりの優勝へ独走状態のまま、まい進する。目の前の1戦に重きを置き、チームが必要以上に先を見据えることはない。ただ、ファンの期待は日増しに高まる。自国開催で五輪種目に復活した「野球」。開幕前の自主トレで坂本勇は「もちろん出てみたい気持ちはありますけど、いいショートがいっぱいいるんで、負けずに選ばれるように頑張りたいな」と話していた。野球人に限らず、アスリートたちがあこがれる夢舞台へのアピール競争も本格化する。

まずは、リーグ優勝。その先に日本一。1年後の世界一に続く道がある。【為田聡史】