日本ハムは2018年で北海道移転15年。過去の名場面、珍場面を、当時の紙面とともに振り返ります。

<11年5月24日付>

悲劇…といえばいいのか。日本ハム武田勝の好投が、報われない。横浜戦(横浜)は7回5安打2失点の力投。11年は安定した投球を続け、この試合終了時点の防御率は1・88。…なのに! 両リーグワーストの5敗目を喫した。それもそのはず、武田勝の登板5試合連続で、味方打線は完封負け。これは50年の2リーグ制以降、初めての珍事だった。

取材している報道陣も、どう言葉を掛けていいかわからなかったが、「かぶりもの」や「オカリナ」などでファンを楽しませる明るいキャラクターに救われた。「どうせなら100年、200年、抜かれない記録をつくります」と笑い飛ばし、「みんなに申し訳ないくらい『悪い』とか言われる。気にしないで今まで通り、普通にプレーしてくれればいい」とチームメートを気遣っていた。

この1週間後の5月29日広島戦、武田勝は1カ月半ぶりの勝利を挙げた。「自分の投球はできていたので、いつか勝てるという気持ちはありました。いつも先に点を取られているので、そこだけは意識しながら。(野手には)気にしてやってほしくはなかった。これで全員が解放されたと思う」。7回5安打無失点。5回2死満塁のピンチも、梵を捕ゴロに仕留めた。ポーカーフェースを保ちつつ、でもやはりホッとした安堵(あんど)が伝わった。

よかったよかった…という話なのだが、実はこの試合も打線の援護はわずか1点。「1-0」の薄氷の勝利だった。