阪神近本光司外野手(24)が、また球団史を塗り替えた。初回、フルカウントから九里の143キロ直球を左翼線へ打ち返した。「追い込まれてから自分の打撃がいかに出来るか、どういうふうにされたら嫌かを考えて打席に入ったので、自分の中でもいいポイントで打てたかなと思います」。悠々二塁へ到達すると、クールにガッツポーズ。いきなり先制のチャンスをつくった。

これで今季安打数は120に到達。1953年(昭28)に吉田義男がマークした119安打を抜き、球団新人の歴代単独6位となった。前日10日にレジェンドの安打数に並ぶと、翌日、新たな1ページを記した。

守備でも光った。3点ビハインドの8回1死一塁、中堅へ大きく伸びた小園の打球を、背走しながらキャッチ。抜けていればリードを広げられるピンチを、好守備で救った。直後に大山らが連打して大逆転。ビックプレーを矢野監督も絶賛した。「フェンスの怖さというのもあるだろうし。そういうなかでああいうプレーをしてくれたのは、チームの士気というのが上がったというのはあるだろうし。近本はもちろん、打って走ってというのが魅力ではあるんだけど、もっともっと守備でもいいプレーが出来ると思う」。実力を知るからこそ、さらなる好プレーを期待した。

近本は58年長嶋茂雄のセ・リーグ新人最多安打153本を視野に入れるだけでなく、多くの新人記録を更新する可能性がある。23盗塁もトップの中日大島、ヤクルト山田哲に2差のリーグ3位。盗塁王、そして新人王も射程圏内だ。さらにはゴールデングラブ賞の可能性も。打って走って守って、猛虎の大逆襲を引っ張る。【磯綾乃】