プロ野球日本ハムが8月19日、求人情報が公開し、異例の中途採用の募集を開始した。

球団が公式ホームページに特設サイト(https://www.fighters.co.jp/expansion/2019/careerrecruiting/)を設けて、大々的に人材を募集するのは過去にも、あまり例はない。

応募資格には「社会人経験1年以上で、ファイターズと共に夢を実現する気概をお持ちの方」とある。野球経験は関係ない。年齢制限もない。23年春に北海道・北広島市内に開業予定の新球場に関連した業務を担うという。温泉に入りながら野球観戦ができたり、北海道ならではの大自然を生かした周辺の複合施設を含めて、これまでの概念を覆すライブエンターテインメント空間を作る計画が進んでいる。つまり、未開の地に、新しいボールパークを一から手がける、日本では前例のないプロジェクトに人生を懸けられる人だ。

特設サイトには、募集要項に加えて、見慣れない項目がある。

「家族円満に転職するためのサポートツール」

PDFやパワーポイントで用意された資料「ご家族円満転職サポートテンプレート」がダウンロードできる。何のために使うのか。「私達と共にファイターズで働くことの意義をご理解いただくため、また、ご家族の理解を得るためのサポートツールをご用意させていただきました」と説明がある。資料の表題には「家族の皆様へ ファイターズへの転職のご相談」と書いてある。詳細な内容は割愛するが、家族を持つ転職希望者が、生活環境を変えて新たな職場に飛び込む意義を配偶者らに訴え、北海道での新生活への不安も取り除けるような、いわゆるプレゼン資料となっている。

7年前に世間を驚かせた、ある“資料”に似ている。日本ハムが12年ドラフトで1位指名した、エンゼルス大谷翔平投手(25)との入団交渉の際に提示した「大谷翔平君 夢への道しるべ ~日本スポーツにおける若年期海外進出の考察~」と銘打たれた文書だ。さまざまな角度から10代アスリートの海外進出の成功例、失敗例を統計的に例示。花巻東から直メジャーを公言していた18歳の投打二刀流の逸材の心を動かし、日本ハム入団へ決意させた一因となったものだ。

選手育成に定評のある日本ハムは、経営面でも、そのスタンスは変わらない。「ご家族円満転職サポートテンプレート」には「新たなる挑戦を後押しする自由闊達な組織風土」とある。今はメジャーのトップ選手として大活躍する大谷も夢を託した球団で、誰もが歩んだことのない新たなキャリアを始める-。少しでも興味がある社会人の方は、同ツールに目を通してみてはどうだろうか。(PDFは→https://www.fighters.co.jp/expansion/2019/careerrecruiting/download/gokazokuenmantensyoku_support-tool2019.pdf?20190821a、パワーポイントは→https://www.fighters.co.jp/expansion/2019/careerrecruiting/download/gokazokuenmantensyoku_support-tool2019.pptx?20190821b)まずは、自分の覚悟を固めるサポートツールにもなるはずだ。応募期限は9月15日まで。未来を開拓できるチャンスが、そこにはある。