3試合ぶりスタメン出場の日本ハム横尾俊建内野手(26)が、オリックス18回戦(京セラドーム大阪)で決勝の3号2ランを放った。12日ソフトバンク戦以来の1発に、笑顔で「おにぎり」を握った。

1点を追う4回。無死一塁から、オリックスの先発、アルバースの初球、外角の直球をとらえた。送りバントも想定される場面だったが、ベンチからのサインは「打て」。スラッガーの心が、躍った。「思い切りいけました。打った瞬間に(スタンドへ)行ってくれるだろうなと思った。本当に最高です」。バックスクリーンに伸びていく打球を、満足げに眺めた。

“大好物”は、ボールを打って、遠くへ飛ばすこと。チームメートをはじめ、多くの選手と打撃論をかわすのは日常茶飯事だ。前カードの西武3連戦での練習中にも、「おかわり君」こと、過去6度の本塁打王を手にした相手主砲の中村に、打撃に対する考え方を質問したばかり。「詳しくは言えませんけど」と、うれしそうに笑った。

渡辺ら覚醒する若手がいる一方で、今季は2度の登録抹消を経験するなど、もがいている。打率も1割台。それでも「フルスイングしてホームランを打ちたい」という思いには、ブレがない。栗山監督は「今年1年間、苦しみながらやっているけど、ああいうの(長打力)が特長なので」。ロースコアで1点を追う展開で、指揮官は背番号58の持ち味を信じた。

横尾は「信頼して使ってもらっている以上、こういう打席を増やしていきたい」。「おにぎり君」の声に、明るさが戻ってきた。【中島宙恵】