最強助っ人が先制パンチを食らわせた。

楽天ジャバリ・ブラッシュ外野手(30)が日本ハム戦の4回、球団の外国人として歴代最多となるシーズン32号本塁打を放った。

チームが今季、前対戦まで6試合で防御率0・57と抑え込まれていた日本ハム加藤から、貴重な1点をもぎ取って2連勝に貢献。貯金1とし、3位ロッテに1ゲーム差のまま、しぶとく食らい付いた。

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打った瞬間に確信した。ブラッシュは4回1死、1ストライク1ボールから日本ハムの先発左腕、加藤の130キロフォークを高々と打ち上げた。バックスクリーン左に飛び込んだ大きな先制ソロ。「一発で仕留められたね。球団記録を更新できて、それが勝利につながってうれしく思う」とうなずいた。

シーズン32号本塁打。17年にウィーラーが記録した31本を抜いて、楽天助っ人の歴代新記録を打ち立てた。8日に31号を放った後、今は2軍にいるウィーラーと食事に出掛けた。「あと1本で新記録だ。お前がやってくれたらうれしいよ」。レコードホルダーから“後継者”に指名された。9月に入って早くも5本目。記録はすぐに塗り替えられた。

来日1年目ながら、迷いのないスイングから力強い打球を繰り出す。2月のオープン戦(沖縄・セルラースタジアム那覇)では初打席で、日本屈指の右腕・巨人菅野を左中間ソロで打ち砕く驚異のデビュー。シーズンに突入しても5月、6月と推定飛距離140メートルの特大弾を連発してきた。規格外のパワーは現役バリバリの大リーガーたちが認めるほどだ。

メジャー通算298本塁打を誇るエンゼルスの4番、アップトンが「僕の2倍くらい飛ばす」と言えば、同66発のシモンズも「自分の7倍くらいパワーがあるんじゃないか」。元同僚たちがアメリカンジョークを交えつつ、評したすごさが海の向こうで証明された。

クライマックス・シリーズ(CS)進出へ負けられない戦いは続く。接戦をものにし、2連勝で3位ロッテと1ゲーム差をキープした。「しっかり役割を果たせてよかった。これからも更新していけるように頑張るよ」。いたってシンプル。4番が打てば、CSに近づく。【鎌田良美】