ソフトバンク新クリーンアップの「つながり」が、投手戦を動かした。両チーム無得点だった8回無死。3番グラシアルは西武の中継ぎエース平井から、左中間席へ強烈な先制25号ソロを見舞った。「千賀が頑張っていたので、報いることができて良かった。昨日(11日)、1位を明け渡していた。取り返す意味でも、すごく重要な試合だった」と鍛え上げた、たくましい胸を張った。

先制直後、4番デスパイネが中前打で出塁。続く5番柳田も右前にはじき返した。クリーンアップの3連打で一、三塁とチャンスを広げ、松田宣の犠飛で貴重な追加点を加えた。9月の打率1割台と苦しんでいた柳田は、試合前練習でも試行錯誤を繰り返し「泥沼から抜け出せん。おはらいでも行こうかな」と嘆いていた。上昇につながりそうな1本に「勝てたのはでかいです。千賀さまさま」と喜んだ。

この日はクリーンアップを入れ替え、一時は中軸を担っていた内川を、横浜時代の07年以来で移籍後初となる8番に下げた。工藤監督は「序盤、中盤、後半とチャンスをものにしたかった。うまくつながりを見せてくれた」と、下位打線にも山をつくることで波状攻撃を狙った考えを明かした。1番から9番までの打順で、前日と同じなのは3人だけという大改造打線は、最後の最後で「つながり」を見せた。何度も好機をつぶしたが、終始、塁上をにぎわせ、山賊打線に競り勝った。【山本大地】