特別な日に夢がかなった。巨人坂本勇が阿部と“1発共演”で、球団の生え抜き右打者では初の40号に到達した。2点を追う4回。DeNA中川虎の初球、真ん中低め直球を左翼席へソロを運んだ。68年長嶋茂雄(現終身名誉監督)の39本を51年ぶりに更新。1死を挟み阿部のソロも飛び出し「僕の夢である40号を打てた日が今日という日、そして阿部さんと一緒にホームランを打てたことが最高にうれしいし感動です」とかみしめた。

ベテランの存在に支えられてきた。阿部から主将を15年に引き継いだが4年間リーグ優勝を逸し17年には球団史上ワーストの13連敗も経験。どん底を見たが、先人の言葉が心をついた。「打てないときもお前が下向いていたらみんな下を向く。勇人だけは下を向いたらダメだ」。常に前を向き先頭を走る大切さを学び体現した。

23日ヤクルト戦後のクラブハウス。引退を告げる阿部の前で誰よりも涙を流した。この日も1発を放った後、次打者席の阿部へ向かって、うつむき、右腕で顔を覆った。涙…、ではない。顔を上げ、にこっと笑った。「『やったな40号』と阿部さんが言ってくれたのでよかったです」。誰よりも明るく前向きに、主将としてまだ見ぬ日本一の夢へ突き進む。【桑原幹久】

▼坂本勇が初の40号。巨人でシーズン40本以上は王13度、松井3度、ラミレス2度、ローズ、小久保、李承■、阿部に次いで8人目(23度目)。右打者の本塁打は10年ラミレスの49本が最多だが、球団生え抜きでは68年長嶋の39本を上回る新記録となった。また、遊撃手のシーズン40本以上は85年宇野(中日=41本)以来、史上2人目。28日の最終戦で遊撃手のシーズン最多本塁打を狙う。

※■は火ヘンに華