日本ハムは2018年で北海道移転15年。過去の名場面、珍場面を、当時の紙面とともに振り返ります。

<13年5月24日付>

日本ハム大谷の「投手デビュー」は、開幕スタメンだった「打者」から遅れること約2カ月、1年目の交流戦ヤクルト戦だった。勝敗はつかなかったが、5回6安打2失点。最速は157キロを記録した。「緊張して覚えていない」。いまではメジャーの野球を変える現代野球・二刀流の先駆者だが、このときは初々しいコメントがかわいらしい。

だが投球内容は「かわいい」とは対照的な「荒々しい」ものだった。試合後「気がついたら真っすぐしか投げていなかった。押せていけたので、そこはよかったと思います」と振り返ったように、全86球のうち、ストレートが65球を占めた。割合で示すと、実に76パーセント。バレンティン、畠山ら強打者が、直球攻めだと分かっていて打てなかった。

分かっていても投げるストレート…といえば、今季のルーキーだった吉田輝を連想する読者も多いはず。今年6月12日のデビュー戦(対広島)を振り返ってみると、こちらは全84球のうち67球がストレートで、割合は80パーセント。“大谷超え”で5回4安打1失点、勝ち投手になった。

大谷は2度目の登板だった13年6月1日中日戦で初勝利を挙げ、ルーキーイヤーは3勝(0敗)、防御率4・23。一方の吉田輝は、デビュー戦が唯一の勝ち星。1勝3敗、防御率12・27と悔しいシーズンを送った。