新任の日本ハム小笠原道大ヘッドコーチ兼打撃コーチ(45)が15日、2軍本拠地の千葉・鎌ケ谷で行われた秋季練習を初視察した。選手の動きを熱心にチェックし、真っさらな状態からチーム強化のイメージを膨らませる作業を開始した。本格始動する30日からの沖縄・国頭での秋季キャンプも同様に、選手を観察して現状把握に注力する構え。練習量を増量するプランを温める来春キャンプへ向けて、細部にわたってリサーチしていく。

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午前10時。スーツ姿の小笠原ヘッドコーチ兼打撃コーチが、鎌ケ谷のグラウンドに現れた。西川や大田ら秋季練習に参加する選手らに「サポートできるように頑張っていきます」とあいさつした後は、ウオーミングアップから、じっくりと選手の動きをチェックした。「今日は、ここ(鎌ケ谷)に来たということでいいでしょ。少なからず練習の風景が見れたので、それで良し」。一部選手の居残り練習も最後まで視察し、午後1時過ぎまで立ちっぱなしで目に焼き付けた。

ヘッドコーチの重責を担うからこそ、意識的に一挙手一投足に注目した。「打撃コーチだったら打撃だけでいいかもしれないけど、やっぱり全部、見なくてはいけない」。栗山監督の参謀役として、チームの全体像を把握する必要がある。視点は細部に行き渡る。「アップの入り、練習に取り組むところ、性格、走塁、守備とか、あらゆるところに隅々まで、可能な限り見たい」と選手の特徴を頭にたたき込む考えだ。

すべては、地獄を予告する来春キャンプへ向けた布石だ。栗山監督からは自身のような心身に強い選手育成を託されている。「どの方法がいいのか、選手個人で違う。見てからでないと、何が足りないのか、どういう練習をしていくか、イメージが沸きません」。30日から始まる秋季キャンプで本格的に選手を観察し、把握した上で「後々の全てにおいて徹底して数も質も上げてやっていきたいと思っています」と宣言した。

ともに練習を視察した栗山監督からは「どんどん気付いたことは言ってほしい。お互いが意見、考えを出し合って、いい方向に進んでいけばという会話になりました」と方向性をあらためて共有した。指揮官も「気合が入っていたね」と期待を大きくした鎌ケ谷でのプレ始動は、チーム変革への予兆を感じさせた。【木下大輔】

○…小笠原ヘッドコーチ兼打撃コーチは、17日に右肘手術を控える清宮に「しっかりと治してください」と優しく声をかけた。「まだまだ、しっかりと練習ができる状況ではないですから。その状況で、あれもこれも言ってしまったら、頭いっぱいになるでしょう」と気遣い、「これからだと思いますね」と万全の状態で対面する日を心待ちにした。

○…栗山監督は笑顔で小笠原ヘッドコーチ兼打撃コーチの“初陣”を見守った。「本当に帰ってきてくれたなぁと。うれしいよね」と鎌ケ谷で見る「ガッツ」の姿に思わず笑みがこぼれた。

「緊張感を、選手たちも持ってくれたと思う。本当に信頼して、任せるだけ」と口にした。