巨人が屈辱の4連敗で7年ぶりの日本一を逃した。「SMBC日本シリーズ2019」第4戦は、腰痛から復帰した菅野智之投手(30)が7回途中4失点と粘りの投球を見せ、4番岡本和真内野手(23)が反撃の2ランを放ったが、あと1点が遠かった。4年ぶりに復帰した原辰徳監督(61)は5年ぶりのリーグ優勝を果たしながら、悲願の日本一は来季以降に持ち越しになった。

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東京ドームを揺らすような大歓声に応えられない。岡本の特大2ラン、丸の適時打と最後まで追い詰めたが、あと1点が遠かった。9回2死一塁、キャプテン坂本勇が空振り三振に倒れ、試合が終わった。7年ぶりの日本一を目指した原巨人の挑戦は、29年ぶりの4連敗で幕を閉じた。

原監督は、ソフトバンクとの4試合で感じた差を包み隠すことはなかった。「勢いはもちろんですけど、かなり高い壁はある。我々はまだ積み上げていかないといけない。意義ある2019年度でしたが、宿題、課題というものは残した状態で来季につなげるというところでしょう」。

レギュラーシーズンと合わせて151試合。5年ぶりのリーグ優勝を使命に課せられた中、勝利と後継者の育成をテーマに掲げて戦った。セ・リーグを制し、大きなミッションを達成した翌日の9月22日、阿部を神宮の監督室に呼んだ。語り掛けたのは、自身の引き際だった。「まだできると自分で思っていた。そのときに身を引いた。でも、それで良かった。まだできると思っているからこそ、今が引き際なんだ。余力を残して辞められて今がある」。

選手としての「余力」が、指導者としての活力になった。強制ではない。経験談を交えながら互いの思いを伝え合い、握手を交わした。現役最後の試合を見届けると「素晴らしい選手生活だったと思います。最後の最後まで、戦う姿勢はまったく変わらない。偉大だと思います」と敬意を表した。阿部が去り、マシソンが去り、2度と同じチームで戦えないのがプロ野球。選手層の厚み、投手陣の底上げ…、来季に向けた課題は多い。「2020年度、ジャイアンツは普遍である」と戦い続ける覚悟を示した。【前田祐輔】