日本が痛恨の今大会初黒星を喫した。プレミア12のスーパーラウンド(SR)の第2戦米国戦(東京ドーム)で3-4と敗れた。相手の急な先発変更もあり、3回まで無安打無得点。中盤から浅村の3本の適時打で迫ったが、あと1点が遠かった。メキシコが3連勝で首位に立ち、日本は韓国とともに2勝1敗。決勝進出争いが混沌(こんとん)としてきた。

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皮肉にも最後は今季からオリックスで守護神に転向し、蘇生した米国ディクソンに完璧に封じ込まれた。あと1点まで迫るも、9回は見せ場なく終わった。稲葉監督は「負けた全責任は私にある」と受け止めた。

練習前、稲葉監督は困惑気味に苦笑いした。「今日急に代わったんでね。ちょっと驚きました」。試合当日になり、相手先発投手変更を聞かされた。前日11日時点での予告先発はハウク。開始4時間前となり、マーフィーへの変更を伝えられたという。米国の説明は「コンディション不良」。「プレミア12」では正当な理由があれば予告先発の変更が認められる。とはいえ、日本なら考えられない。

ハウクは195センチの長身右腕。サイド気味のフォームから繰り出すツーシーム、鋭く曲がるスライダーが武器で、速球は最速98マイル(約158キロ)。マーフィーは188センチからサイド気味に投げ込んでくる25歳の変則右腕。こちらは140キロ台後半の直球にスライダー、ツーシームで的を外していくスタイルだ。右腕左腕の違いはないが、突然の先発変更に面食らったことに変わりはない。「(打線を)正直、練り直しました」と対応を求められた。

いいようにやられた。1番丸は不規則な149キロ直球に詰まらされた。菊池涼、坂本勇は大きく外へ逃げるスライダーを我慢できずに空振り三振…。3回まで無安打無得点で爪痕を残すことはできなかった。

ただ試合後は「戸惑いはない。どっちみち初見の投手なので」と結果を受け入れた。日本と同様、米国も研究してきた。鈴木に三遊間、吉田正には一、二塁間に3人の野手を配した。2点差になった7回2死二、三塁で近藤のライナーは二塁に寄せていた遊撃手に阻まれた。

精巧な選球眼で12カ国トップの26四球を誇るが、得点圏打率は2割4分5厘と決定打を欠く。「メンバーは代えられない。調子がいい悪いは言っている場合ではない。この打線でどうつながるかを考える」。世界一への答えを模索するしかない。【広重竜太郎】

▽侍ジャパン金子ヘッド兼打撃コーチ(打線が3得点どまり) 力のあるボールに差し込まれるのは今に始まったことじゃない。先発投手が代わってからですね、つながったのは。(先発投手に)タイミングが取れていなかった。(マーフィーは)昨日の先発投手とは違うタイプ。昨日は三塁から投げてくるような感じだったけど、今日は阪神の青柳みたいだという選手もいた。打ちたくて小さくなっている選手もいれば(球を)追いかけている選手もいる。