19年10月7日。阪神とのCSファーストステージに敗れ、DeNAのシーズンは幕を閉じた。仮に巨人とのCSファイナルステージに進出していれば…第1戦の先発は、17年ドラフト5位の桜井周斗投手だった。

日大三時代は「清宮キラー」として名をはせた20歳。若き左腕が、チームの命運を握る初戦のマウンドに立っていた。石田、浜口、平良は既にファーストステージで先発していた。エース今永はブルペン待機していたため、先発するには日数を空ける必要があった。上茶谷、大貫の新人2人に加え、ベテラン井納の選択肢もあった。それでもラミレス監督は桜井を選んだ。

プロ初登板を含む14試合に登板。主に中継ぎとして待機し、先発は9月27日の巨人戦(東京ドーム)1度だけだった。その試合で信頼を勝ち得た。2回をパーフェクト、3奪三振の内容で、巨人と渡り合える能力を首脳陣へアピールした。

150キロ前後の直球に、清宮を翻弄(ほんろう)した切れ味鋭いスライダー。マウンドでは、年齢を感じさせない立ち居振る舞い。ラミレス監督の信頼は厚く、すでに「来年は先発でやってもらう」と明言している。今永に次ぐ左の柱として、一気のブレークを期待したい。【前DeNA担当=栗田尚樹】