甲子園を「日本一歴史館」へ!! 阪神の本拠地に併設されている甲子園歴史館の運営会議が21日、大阪市内のホテルで開催され、阪神の85年日本一監督でOBの吉田義男氏(86=日刊スポーツ客員評論家)が35年ぶりの日本一奪取を熱望した。

施設は21年3月に展示面積を1・25倍にして移転リニューアルする。2年目を迎える矢野阪神の打線固定化などをVの条件に挙げ、活躍する現役選手の展示をリクエストした。

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悲願の「日本一」こそが甲子園歴史館のリニューアルを最高に引き立てる。大阪市内で行われた運営会議。21年3月に改装予定の概要が発表された。顧問の吉田氏は願望を込めて言った。

「特に今年はタイガースが85周年です。ここで本当のスーパースターが出て現役の選手のコーナーもできるくらい、幅広い歴史館になってほしいですね」

歴史館は3月14日に開業10周年を迎える。来年は、新築される球場南側の新棟2階を阪神タイガースゾーンとして、虎一色の展示品が披露される。「Victoryコーナー(仮称)」も設けて優勝した85、03、05年のVペナント、トロフィーなどを展示するが、同館開業後は1度も頂点に立っていない。吉田氏は期待感たっぷりだ。「やっぱり勝たないかんわな。今年チャンスちゃう? いろんな意味で。矢野監督は2年目ですけど、一番安定して力を出せるんじゃないか」。昨季、若手を積極的に起用。頂点に向けて足がかりを築いたとみる。

85年には球団唯一の日本一に導いた指揮官だ。「35年やな。ちょっと長すぎるわな」と当時を思い起こしつつも、矢野阪神に提言した。「あのときは打線が1番から6番まで固定していた。監督も非常に楽です。投手さえ回ればいい。そういう意味の固定化が1つのポイント。ショートを誰にするかもポイントです」。打線の固定化、木浪や北條らが競う遊撃レギュラー定着を“V条件”に挙げた。

今オフは史上最多の外国人8人体制を敷く。そのなかでも、吉田氏は若手に期待する。「相対的に見て力をつけてきている。野手なら大山、近本。投手では若手のいい投手がたくさんいる。高橋、才木もいるし、藤浪の一本立ちがローテーションの1つの鍵を握っている」。タイガースを愛すればこそ、まなざしは温かい。「前回のオリンピック、64年やね。タイガースも優勝している。願望も含めて勝ってほしい」と続けた。まだ見ぬ20年V戦士の華々しい展示…。球団史を刻んできた大先輩ならではのエールだった。【酒井俊作】