念願の“1軍”マウンドに立った。ソフトバンクから新加入したヤクルト長谷川宙輝投手(21)が、今キャンプ初の対外試合となる韓国・サムスン戦(浦添)に3番手で登板。5回2死二塁からスライダーで見逃し三振に仕留めると、6回は3者連続三振に切った。

最速149キロを計測した直球で、空振りやファウルを奪った。「持ち味は出せたかな。左腕なので、右打者のインコースは大切にしています」。最後は宣言通りの内角低めチェンジアップで再び見逃し三振に仕留め、今季初登板を締めた。

赤ストライプのユニホームが真新しい。昨季まで背番号3ケタを背負った。自由契約となる3年目終了時点で、支配下での獲得を打診したのがヤクルト。「今までは支配下を目指して試合に臨んでいた。それを気にせず、やりたいことができる。壁がなくなった」。戦力として勝負できる自由に胸が躍った。

東京出身で小、中学生のころ、ヤクルトのファンクラブに入っていた。あこがれのチームを強くした野村克也元監督が、11日に急逝。「ホークスの先輩でもあるし、ヤクルトの先輩でもある。本で教わったことを大切にしていきたい」。かねてお風呂で「エースの品格」など著書を愛読。心に残っているのが「超二流を目指せ」の教えだった。

才能を持つ一流でなくても、超二流には努力でなれる。「僕は育成で入団して、二流どころか三流以下だと思う。すごい人たちの引き立て役でいい。『あ、長谷川投げたんだ。抑えてたんだ』くらいでいい」。楽天から加入した今野も、2回を1安打4奪三振無失点と好投。同僚では前オリックスの近藤や坂口ら、輝きを取り戻した選手も多い。「再生」はつかみ取れる。

課題だったクイックにも意欲的に取り組み、成長著しい。「先発なら5回以上、中継ぎなら年間30試合以上投げたい。初登板、初勝利は今季絶対しないと」と力を込めた。【鎌田良美】