ソフトバンクが、昨季投手陣を支えた2人が開幕絶望となる大ピンチを迎えた。

雨のため紅白戦中止となった15日、昨年「8回の男」としてルーキーながら65試合に登板した甲斐野央投手(23)が右肘靱帯(じんたい)の一部損傷で離脱が決定。左太もも負傷の高橋礼もリハビリ組へ。リーグV奪回を図る工藤監督も頭を抱えた。

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雨が激しく、午後から予定の紅白戦が中止となったころ、キャンプ地のはんぴドーム内で、工藤監督に甲斐野が自分の症状を報告していた。

甲斐野 右肘に強い張りが出てトレーナーと話してしばらくノースローということになりました。キャンプ当初から少し張りがあった。自分の管理不足です。

キャンプ序盤から張りは感じていた。本調子ではなく、9日のシート打撃でも最速145キロ止まりだった。張りが強くなり、14日に佐賀市内の病院でMRI検査を受け「右肘内側側副靱帯(じんたい)一部損傷」と診断された。

甲斐野 プロに入るまでは肩、腰の故障はあるが、肘は初めてで、どこまで持つかが正直分からなかった。キャンプに入って筋力や柔軟性も十分でない状態で先輩達についていこうとしてしまいました。

当面はノースロー調整で治療に専念する。3月20日の開幕まで約1カ月となったこの時期の肘故障での離脱は大きい。工藤監督も「たぶん、開幕は難しいと思う。しっかり治してほしい」と肩を落とした。

12日には高橋礼が左太ももを負傷。14日に宮崎市内の病院で検査を受け「左大腿(だいたい)二頭筋の炎症」と診断された。高橋礼は「病院からは2週間くらいと言われた。自分としてはもう少し早いとは思いますが、キャンプ中の復帰は微妙です」と話し、こちらも開幕は難しい状況だ。

昨季、65試合に登板した「8回の男」が、今季スタートラインに立てない。昨季の新人王、高橋礼もいない可能性が高い。昨年は野手陣の故障に泣いたが、今年は投手陣にアクシデント。工藤監督は「もうちょっとしっかり考えて自主トレをして、キャンプに入ってほしかった」とポツリ。若手投手には大きなチャンスだが、その穴を埋めるには大きすぎる2人の離脱に、指揮官の言葉も湿りっぱなしだった。【浦田由紀夫】