阪神の新外国人で先発候補のジョー・ガンケル投手(28=マーリンズ3A)が、楽天との練習試合で実戦に来日初登板し、ゴロメーカーぶりを発揮した。危なげない先発マウンドで2回無失点。剛腕ではないが、巧みな投球術を見せつけた。

1回2死一塁。初球の速球を狙い打った浅村をどん詰まりの遊ゴロに抑えた。2回も鈴木大地を外角低め速球で再び遊ゴロ…。初めてリードした梅野が「多少、近いところの球は動いている。いろんな球種で苦手な球はないと思う」と話せば、矢野監督も「ストライクゾーンのなかでうまくゴロを打たせていくのが、ガンケルの投球。試合に投げていきながら開幕までしっかりやってくれたら」と期待。アウト6個のうち4個がゴロ。右腕は堂々、開幕ローテ候補だ。

この日最速146キロの速球は動いた。左飛だった楽天小郷は「速球は強くて動く。腕が長いので、独特の曲がりで入ってきます。嫌だなと。スライダーの曲がりが見たことのない角度。手が出なかった」と証言する。その2球目は膝元に食い込む球だ。島内からも同じ内角低めスライダーでストライクを奪うなど、ストライクゾーンの横幅をフルに使って抑えにかかる。

ネット越しで視察した敵の007も警戒した。巨人中里スコアラーが「あの動く球をしっかり捉えるのは難しい。すごくいい投球だった」と言えば、中日金子スコアラーも「思った以上に低めに来ました。今でもシーズンいけると思います」。メジャー経験こそないが、3Aでの4シーズンで与四球率は1・19と安定感を誇る。手足が長いスリークオーター右腕の力量が光る26球だった。

シンカーなどを駆使して打者を惑わせ、ガンケルも「自分の投球をできた。弱いゴロを打たせて、どんどん試合のテンポを作っていく」と納得顔。本番まで1カ月少々だ。速球の球威が増せば、他球団の脅威になる。希望あふれるデビュー戦になった。【酒井俊作】