野球の世界で最も厳か、かつ特殊な場所が「ブルペン」だ。投げ込む息づかい、スパイクがマウンドの土をかき込む乾いた音、ミットをたたく破裂音。私語厳禁の濃厚な空間で、投手たちはコツコツと自身のフォームを作り、磨き上げていく。素朴な疑問をつぶしながら、職人たちの工房を探求する。【プロ野球取材班】

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Q ブルペンは投手だけが練習する場所なの

A 投手の投球練習は、捕手にとっても練習になる。打者も打席に立って目慣らしをする。

Q 捕手が練習になるのはどういう点

A 抜け球や引っかけた球への対処。日刊スポーツ評論家の里崎智也氏によれば、ブルペンでそういう球を止める練習をしておけば、投手ごとにどんな球種で投げミスの可能性が高いかなども把握でき、実際の試合で暴投や捕逸を減らせるという。

Q 捕手がブルペンで気をつけることは

A 里崎氏は「試合と同じようにする」を徹底していた。マスクを着け、スパイクを履き、捕球時に膝は地面につけない。さらに走者一塁で盗塁のある状況や、走者三塁で重圧のかかる場面を想定して受けていたそうだ。だから、立ち投げ段階のエースより、格下でも捕手に座ってほしいという投手の球を受けることを優先していた。

Q 選手とブルペン捕手が使用するミットに違いはあるの

A 楽天伊志嶺ブルペン捕手 現役時代に使用していたものより少し革を厚くしています。へたりに強くなって耐久性も高まりますし、捕球音も甲高くなります。

Q ブルペンでの捕球音が響きやすい球場は

A 大きな違いはあまり感じませんが、強いていえばPayPayドームは響きやすいかなと思います。

Q 1日に何百球と球を受けただけ投手へも返球しますが、肩肘のケアはしていますか

A 選手ではないので、がっつりとはやりませんが、ストレッチは意識してやっています。