ロッテのドラフト1位・佐々木朗希投手(18=大船渡)が、ライバルに続いて賛辞を受けた。25日、宮崎市内でのソフトバンクとの練習試合前に、プロ入り後6度目のブルペン入り。前回23日同様、ブルペン捕手がホームベース上に座っての投球練習を行った。コンディション次第で、27日に18・44メートルの本格ブルペン投球が解禁される。

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室内ブルペンの7つのマウンドの中央で、佐々木朗は投げた。今回は非公開ではない。ソフトバンクの選手たちも食い入るように見つめる。100人を超える球界関係者、報道関係者の視線を浴びながら、しなやかに腕を振り続けた。

捕手後方で、野球殿堂入りの名投手が静かに見つめていた。元大洋の平松政次氏(72)だ。社会人野球JX-ENEOSの臨時コーチとして、チームに帯同している。24日はヤクルト2軍、25日はソフトバンク2軍と練習試合。縁あって、この2日間でヤクルトのドラフト1位・奥川恭伸投手(18=星稜)と佐々木朗のブルペン投球を、続けて視察することになった。

ブルペンから出た平松氏は「奥川に似ている。投げ方が本当にきれい。将来間違いない、というものを見せている」と興奮を隠しきれないように話した。奥川のことは「流れるような美しいフォーム。沢村賞の時の(楽天)涌井みたい。フォームはマー君(ヤンキース田中)よりいいかも」と絶賛していた。

その奥川を回想しながら、左足を高々と上げる佐々木朗の潜在能力にも驚かされた。「あのフォームだとまだ7割くらいだろうから、あと3割加わって全力で投げられるようになったら本当にすごいと思う」。関節が柔らかく、腕がしなるところは往年の平松氏のよう。「ピッチング(動作)の中でつっかえるものがない。どこの欠点もない」と褒めちぎった。

欠点が見つからないからこその効果も付け加える。「こんなきれいな投げ方だから、負担がかからないし、疲労もとれやすい。いつも万全な態勢で投げられると思います」。先発投手は週1回登板が基本の現代野球。「奥川もだけど、今の時代では通算200勝は難しい」と言いながら「バックが点を取ってくれれば(年間)20勝は期待できるのでは」とワクワク感に満ちた表情で話した。

コンディションが良ければ、27日にも18・44メートルでのブルペン投球が始まる見込みだ。佐々木朗も「投げてみないと分からないものもありますが、やれることはしっかりやってきているので、準備はできているかなと思います」と、いよいよ近づく本格投球練習に身も心も高めてきた。

どんな球を投げ、どこまで羽ばたくのか。平松氏は「セの奥川、パの佐々木朗希。素晴らしい投手が誕生して、プロ野球も盛り上がってくるでしょう」と球界の救世主としての活躍も願っていた。【金子真仁】