新型コロナウイルスの影響で活動休止中のロッテは、井口資仁監督(45)が球団公式インスタグラム上でファンからの質問を募集し、5日間連続で回答する企画を行っている。

「メディアの皆さんの質問も歓迎します」とのことなので質問すると、翌日にさっそく返答が。さながらWEB上での合同記者会見になり、ファンからの質問にも想像以上の“神回答”が続出した。非常時ならではのファンサービスに潜入した。

   ◇   ◇   ◇

ヒラメをさばくのが得意で、ファーム降格通告に心を痛め、自宅では85インチのテレビで映画を見て、洗車はルーフから始め、斉藤由貴さんの「卒業」のレコードを買った-。井口監督はこの数日間、驚くほど開けっぴろげに質問に答え、ファンを喜ばせている。

練習休止という環境で「何か発信できないか」と思い、選手が先行していたインスタグラムでの「Q&A」企画に立候補した。

“合同記者会見”をイメージした企画なので、ファンだけでなく報道陣も質問可。普段はできないような質問を書き込んでみた。「監督が20代後半に戻り、今の佐々木朗希投手と直接対決するとなったら、どのような意識で臨みますか?」。回答は、514文字に及ぶ長編だった。

感謝しながら他の回答に目を移すと、一瞬でゾクッとした。「和田選手は支配下登録される可能性はありますか?」とのファンからの質問が選ばれていた。

639の質問のうち、俊足強打でアピールする育成選手・和田康士朗の支配下登録を問う質問が15個あり、賛同を示す「いいね」も75人からついた。しかし、これは編成上の機密。私たち記者も、質問するタイミングを慎重に見極めるべきテーマ。さすがにこの場で回答できるはずがない-。

球団の考え方は違った。梶原紀章広報室長(43)は「和田の支配下登録は、ファンがいま気になっているトピックの1つ。今回も選手個人では、和田と鳥谷に関する質問が多かった。ちゃんと答えたかった」と、あえて質問を選んだ理由を明かした。

核心を避けた無難な回答でも済ませられたはず。球団はそれもしなかった。「うわべだけの回答をしてもしょうがない」。こんな回答になった。

「順調にいけば必ず支配下登録されることになると考えています。逆にシーズンにおいて戦力になってもらわないと困るくらいの思いを彼に持っています。シーズン中もここ一番で足を見せてほしいです」。

和田本人も、和田のライバルも、大いに刺激を受けただろう。何よりも、監督の真意に“潜入”できたことに、ファンが興奮した。試合がなく、本来ならチームの情報も一気に減る。その逆風に押されることなく、ロッテが強い発信を続けている。【金子真仁】

◆和田康士朗(わだ・こうしろう) 1999年(平11)1月14日、埼玉県東松山市生まれ。小川-都幾川倶楽部硬式野球団-BC・富山を経て、17年育成ドラフト1位でロッテ入団。昨季は2軍でリーグ2位タイの23盗塁。185センチ、77キロ。左投げ左打ち

◆“井口選手”の対佐々木朗のイメージ(抜粋) いい投手と対戦する時の自分の鉄則は一番いい球、彼でいうなら直球を狙いに定めること。ファーストストライクから積極的に振る意識で、ダルビッシュ投手や大谷投手との対戦と近いイメージで打席に入ります。真ん中ちょっと高めに意識を置き、直球に合わせながら、高めに変化球が来たらそれも積極的に。追い込まれても、速い直球に合わせます。まあ、たぶん、打ち取られます(笑い)。それにしても163キロ、打ってみたかったですね。