日刊スポーツは4月から随時連載「期待しタカ」と題して、ソフトバンク担当記者による応援企画を掲載しています。今回は、昨年日本ハム有原航平投手(27)に苦しめられた内川聖一内野手(37)。昨年3勝を献上した相手エース攻略にベテランのバットは欠かせません。

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ソフトバンクは昨年日本ハムに15勝9敗1分けと大きく勝ち越した。しかし、その9敗中、3敗は有原に白星を献上した。逆に有原から3勝は奪ってはいるが、登板した6試合すべてで5回までに降板させることはできなかった。チームのエース格相手にしっかり「仕事」をさせてしまった。チーム打率も1割6分5厘。そのなかでも、珍しくベテラン内川の成績が振るわなかった。

昨年の対有原は11打数2安打0本塁打1打点で打率は1割8分2厘。16打数5安打2本塁打2打点だった松田宣とは対照的だった。内川は有原が苦手なのか…。いやいや、過去をさかのぼるとそうではない。

◆内川の年度別対有原成績

年度 打 安 本 点

15年 10 4 1 1

16年 29 6 0 2

17年 5 2 0 1

18年 9 4 1 3

15年と17、18年は打率4割を超える対戦成績だった。決して苦手ではない。通算5年では64打数18安打2本塁打8打点で打率2割8分1厘。やはり昨年の1割台が響いて打率をやや下げている。

こんな数字を甘んじて受け入れるベテランではない。2000安打マークで名球会入りを果たした打者で、右打者史上最高打率(08年、3割7分8厘)、史上2人目の両リーグでの首位打者および最多安打も記録した。経験豊富な打者だからこそ、相手エースを打ち崩す先頭に立ってくれるはずだ。

今年はキャンプ途中からで左膝関節炎を訴え別メニューだったが、3月下旬には1軍に合流してきた。「大丈夫じゃなかったら(1軍に)上がってない」と胸を張っていた。災い転じて福となす。新型コロナウイルス感染拡大防止で開幕が延期されているなか、ベテラン打者が静かに、確実に完全復活を図る。【ソフトバンク担当・浦田由紀夫】