右翼はオレだ!ソフトバンク上林誠知外野手(24)が2日の練習試合初戦、オリックス戦(京セラドーム大阪)でチームの全打点を挙げる活躍を見せた。先制タイムリー二塁打、決勝打を含む3安打2打点をマーク。激しい外野争いで首脳陣に開幕スタメンを猛アピールした。

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2カ月ぶりに、球音が帰ってきた。工藤監督はマスク姿で指揮を執り、スタンドに観客の姿はない。普段の球場とは違う光景だが、開幕に向かって確かな前進だ。ソフトバンクにとっては、3月22日の練習試合ロッテ戦以来となる対外試合で上林が開幕スタメン奪取へ猛アピールした。

両チーム無得点で迎えた4回1死一塁では左中間へ先制二塁打。同点の8回2死一、二塁にも中前へ決勝タイムリーを放った。いきなりの3安打2打点で、チームの全打点をたたき出した。「オープン戦からずっと良かったですし、休みの間もいいイメージを保ったままきていた。紅白戦でも打てていたので、それがそのまま出せている」とクールに振り返った。

昨季は99試合に出場し、打率1割台。不振の大きな原因が右手甲の骨折だった。「手が痛くないということが一番の心の支えというか。去年は勝負にならなかったので。その部分で。その不安がないということで、集中してできています」。不安と戦った昨季とは違い、今年はその痛みも消えた。

外野争いはチーム内で最激戦区と言っても過言ではない状況だ。工藤監督は左翼をバレンティンに任せる方針で、中堅柳田を含め2つのポジションは決定的。残る右翼を、現在は体調不良でリハビリ組に回る中村晃や長谷川、栗原らと争う形だ。上林は昨年まで3年連続で開幕スタメンだったが、レギュラーを約束された立場ではなくなった。「やっていけるというか、やらなきゃいけないと思っている。しっかり『ライト上林』というイメージをまた植え付けられるようにするだけですね」と力強く言い切った。

体重を絞るなど、オフから取り組んできた打率重視のスタイルも実を結びつつある。「去年の思いも含めて、強い気持ちで1年間やっていきたい」。自らの手で「ライト上林」の座を取り戻す。【山本大地】