3年目の中日山本拓実投手(20)が今季初勝利を挙げた。

阪神戦(ナゴヤドーム)に先発して6回5安打2失点。チームに初の連勝をもたらした。初めて開幕ローテーションを託された167センチ右腕は「2ケタ勝利への1歩目」とニヤリ。昨季のプロ初勝利に続いて阪神戦の先発は2戦2勝とし「虎キラー」襲名の1歩目にもなりそうだ。

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山本が167センチの全身を使って最速150キロの直球を走らせた。これに110キロ台のカーブにチェンジアップ、スライダー、カットボールを配合。緩急を自在に操って阪神打線に的を絞らせなかった。3回に梅野に先制ソロを被弾しても崩れない。4回2死満塁は木浪をチェンジアップで左飛。6回はサンズに適時打を許したが失点はそこまで。虎打線の看板、マルテとボーア、サンズの「MBS」トリオにつながりを許さず、しっかり分断した。「今年は2ケタ勝利を目標にしています。第1歩目を踏み出せました」。ファンがいない本拠地のお立ち台で今季初勝利の喜びをかみしめた。

昨年7月31日の阪神戦(甲子園)で6回1失点でプロ初勝利を挙げた。昨年は3勝を手にしたが、ローテーションを維持できなかった。今年は開幕前の練習試合でアピールし、初めて開幕ローテ入り。2戦目でプロ4勝目を挙げた。前日6月30日は先輩柳が緩急を使って阪神打線を封じ込めた。一夜明け、練習中にその柳から「緩急をしっかり使え」とアドバイスをもらった。先輩からのバトンをつなげたトラ退治だった。

同姓の同じ右腕オリックス山本に憧れる。3年目で最優秀防御率のタイトルを手にした1学年上の先輩。昨オフに初対面し、練習法などを吸収してきた。LINE(ライン)を交換し「分からないことがあったら質問します」と食らいつき、“弟子入り”後初勝利にもなった。今年は先発ローテを守るため「体にいいと聞いている」と、新型コロナウイルス感染拡大による自粛期間中、寮での朝食時に青汁、夕食後には熱いトウモロコシ茶を飲み続けた。体調管理に気を配り、自覚も高まってきた。

兵庫・宝塚市出身で、少年時代は阪神のファンクラブ会員だった。これで阪神戦は先発すれば2戦2勝。竜投の虎キラーとしての1歩目もしっかりと刻んだ。【伊東大介】