“大将”こと日本ハム中田翔内野手(31)が、勝利への執念を見せた。

5日のソフトバンク6回戦(札幌ドーム)。5-3で迎えた5回の攻撃中、中飛による飛び出しから、二塁へ帰塁する際に転倒して左膝を強打。激痛をこらえながら「4足歩行」で二塁へ戻って、試合の主導権を渡さなかった。4番としても、マークが厳しくなる中、3打数2安打1打点。6連戦を白星で締めた。

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腹ばいになって、左手を必死に二塁ベースへ伸ばした。日本ハム中田が、周囲をヒヤリとさせた場面を振り返った。4-3で迎えた5回1死一塁。右前打で出塁した中田は、続く渡辺の左前適時打で進塁し、一、二塁に。二塁ベースから「普通に戻れる距離」のリードを取っていたが、大田が中飛に倒れ、帰塁しようとしたところ、派手に転倒してしまった。

中田 (中堅手の飛球の)捕り方が怪しかった。捕球体勢に入って、両手で取りに行くような感じだったので「あっ、落とす」と思って。ちょっと滑ったのもあり、焦って戻ろうとして、つまずいたのもあり。最後は4足歩行で(二塁へ戻った)。

強打した左膝の痛みに顔をしかめながらも、間一髪で間に合った。「必死だよ。あそこでアウトになっていたら、終わりやろ。助かった」。優勢だった試合の流れを変えることなく、ホッと胸をなで下ろした。

しばらく動けなかったが「(次戦の出場は)大丈夫だと思う」と、きっぱり。「何してんの?泳いでんの?プールと間違えた?」と辛口の栗山監督だったが「でも、良かったね。たいしたことないから、冗談を言える。こっちが一番ドキドキする」と苦笑いだ。

味方のミスで先制点を失った直後の1回には、一時、勝ち越しの中前適時打。3打数2安打1打点と4番の仕事を果たしながら、必死のプレーでベンチの雰囲気を盛り上げる背番号6は「勝って大阪に乗り込めるのは良かった」。力強く、敵地6連戦に臨む。【中島宙恵】