中日アリエル・マルティネス捕手(24)が、5日の巨人戦(東京ドーム)でプロ初のスタメンマスクをかぶり、攻守で連敗ストップに貢献した。「8番捕手」で球団史上初、プロ野球29年ぶりの外国人捕手スタメン出場。打ってはプロ初安打を含む3安打猛打賞もマークした。同い年の先発梅津を好リードし、チームを3連敗から救った。

先月まで育成契約だったカリビアンキャッチャーが、球団史に名を刻んだ。同い年の梅津とプロ初バッテリーを組み、巨人打線を分断した。丸には適時打、中島には本塁打を打たれたが、主砲岡本は無安打2三振。6回まで5安打3失点で試合を作った。

梅津の落差の大きなフォークにも、しっかり反応。190センチの巨体でがっちり捕球し、梅津を楽にした。打席でも2回2死から先制点につながるプロ初安打の左前打を放つと、3、4打席と連続安打。猛打賞でスタメンデビューを飾った。

「(梅津には)とにかく元気を出して、攻撃的にやろうと伝えた。(若林の打球直撃で)足が痛いのを我慢して投げていた。頑張れ、頑張れと応援したよ」。実戦初バッテリーでも息はピッタリだった。昨春、右肩の故障でリハビリ中の梅津の球を受けてきた。「いつか2人で1軍でバッテリーを組もう」。1日に支配下登録され、2年目右腕の対巨人3勝目を支えた。

この日の試合前、ベンチ前の円陣で声出し役も務めた。「3連敗で名古屋には帰れない。必ず今日勝って名古屋に戻ろう!」。通訳を通じてナインを鼓舞し、自身も攻守で連敗ストップに貢献。日本語での会話力について、関係者は「ペラペラとは話せないが、単語は使える。こちらが話している野球用語は理解している」。習い覚えた「低めに」などの単語で、マウンドの投手に考えを伝える。

中村バッテリーコーチからハッパをかけられていた。「美人の彼女がいるんだろ。今日はいいところを見せろよ」。キューバ人の婚約者カミラさんとは日本で同居中。ナゴヤ球場で応援する姿がファンの間で話題になるほどの美女だ。テレビ画面越しに、獅子奮迅の活躍を美しいフィアンセに届けた。【伊東大介】

◆アリエル・マルティネス 1996年5月28日、キューバ生まれ。コマンダンテ・マヌエル・ピティ・ファハルド体育大からキューバリーグ・マタンサスを経て18年3月に育成契約で中日入り。昨季は2軍で一塁手も兼ね52試合、2本塁打、21打点、打率2割5分7厘。昨年11月のプレミア12ではキューバ代表として招集された。ソフトバンク・グラシアルはマタンサスでチームメート。年俸1500万円(推定)。190センチ、95キロ。右投げ右打ち。

▼A・マルティネスが捕手で先発。外国人選手が捕手で先発出場は91年6月12日ディアズ(ロッテ)以来、29年ぶり。セ・リーグでは77年4月27日ギャレット(広島)以来となり、2リーグ制後の中日では初めて。また、A・マルティネスはこの日猛打賞も記録。外国人選手が先発捕手で猛打賞は90年8月1日の前記ディアズ以来。