ソフトバンクが首位楽天に連勝した。試合を決めたのは明石健志内野手(34)だ。4-4の7回2死二塁、4番手シャギワから中越えの決勝適時二塁打を放った。開幕前の5月に第1子の男児が誕生。新米パパが3安打の活躍で逆転勝利の立役者になった。チームは借金を1に減らした。

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7回2死二塁。ようやく来た勝ち越しのチャンス。打席に向かう明石へ、前日10日から球場に戻ったファンが大きな激励の拍手を送った。「いい感じで捉えられました。二保も何とか粘って投げていたし、タイムリーになってくれて良かった」。楽天シャギワの高めツーシームを捉えると、外野陣の前進守備をあざ笑うようにセンターオーバー。フェンス手前まで届く大飛球で決勝点をもたらした。

いわゆる「スーパーサブ」の役割。開幕戦はベンチからで、先発での出番は限られていた。「調子が悪くても打っていかないといけない。気持ちですね。ずっと出て試合勘があるなら対応もできるけど、(ベンチなら)スピードガンしか見られていない。出たら決めてやる、という気持ちですね」。少ない仕事場できっちりと結果を出し続けた。故障者も出始めて、8日楽天戦からは4試合連続スタメンだ。

この日は4点を追う2回先頭で右前打。二塁まで進むと、甲斐の中前打で三本間に挟まれた。後ろには一塁走者の松田宣も来ており「行くしかない」と本塁突入。鮮やかなスライディングでタッチをくぐり生還した。3回にも中前打を放っており、今季初の猛打賞。起用した工藤監督も「出続けたら打ってくれる。さすがだな」とうなずいた。

開幕前の5月20日に第1子となる男児が誕生した。「すべてに癒やされますね。かわいい」。新米パパは自宅ではおむつ交換をしたり、お風呂に入れたりと育児に夢中だ。先週まで所沢、札幌と2週連続の遠征で毎日のようにテレビ電話。この日はヒーローインタビューを終えると「早く帰って、ボディーローションを塗ってあげないと」と目尻を下げた。

首位楽天に逆転勝ちして連勝で、このカード3勝2敗。借金も1まで戻してきた。工藤監督は「昨日のああいう勝ち方から、今日は逆転。このまま乗っていってほしい。明日しっかり勝ち越せるように」。12日も勝ってまずは勝率5割を決める。【山本大地】