5連勝目前、阪神が痛恨の逆転負けを喫した。新外国人ジャスティン・ボーア内野手(32)が先制2ランを放ち、1点リードで迎えた9回。中堅植田海内野手(24)の適時失策で同点とされると、藤川球児投手(39)がソトに痛恨の勝ち越し2ランを浴びた。上限5000人のファンを甲子園に迎えての2戦目。藤川が肩を落として降板する姿に、聖地は悲しみに包まれた。

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阪神が9回、1点のリードを守れなかった。マウンドを託されたのは、もちろん守護神藤川だ。藤川にとっては今季の有観客試合初登板。勝利でゲームを締めくくりたかったが、1死後、まさかの展開が続いた。

梶谷に四球。続く桑原に中前打を打たれた。一、三塁になるかと思われたが、その打球をセンターに入っていた植田がしっかりさばけず、一塁走者だった梶谷の生還を許してしまった。

同点とされ、さらに1死一塁からも思わぬシーンが繰り広げられた。藤川がソトに勝ち越しの2ランを被弾し、ゲームをひっくり返されてしまった。藤川は22球で交代した。

完全な勝ち展開だった。0-0の2回。二塁打の大山を塁に置き、ボーアが先発左腕、今永の真ん中低めのカットボールをすくい上げた。打球は左中間スタンドへ一直線。今季4号2ランはファンの前での公式戦初アーチだった。

ダイヤモンドを1周後、ベンチ前ではおなじみの「ファイアボール」ポーズは披露せず。「悠輔(大山)にファイアボールをお願いされたから、代わりにやってもらったよ(笑い)」と明かし、ノリノリで大山にポーズを促した。

チームは6月26日に敵地で今永と対戦。左腕に苦手傾向のあったボーアは、同試合で今季初めてスタメンを外された。助っ人として屈辱的な思いを味わった日から2週間後。その悔しさを1発で晴らした。今季4本のアーチのうち3本は左腕から放っており、心配していた「左腕アレルギー」もウソのよう。さらに、阪神の打者が甲子園で今永から本塁打を放つのは4年ぶりだった。

8回にも3番手国吉から左前へ安打を放ち、この日はマルチ。直近5試合は18打数8安打で打率は4割4分4厘と絶好調だ。ホームランを放った後の3回の守備に就く際には、球場のファンから「ボーア!ボーア!」と大合唱でコールを受けた。以前「ファンの皆さんの前で勝てるように頑張るよ」と意気込んでいた紳士な助っ人は、右手で帽子とってスタンドに一礼。あとは勝利の瞬間を待つだけだった。

試合後の整列。藤川はボーアらと並び、スタンドに深々と頭を下げた。この悔しさは、マウンドで晴らすしかない。【只松憲】

▼阪神藤川がソトに決勝2ランを浴びた。今季は6月25日のヤクルト戦で西浦に逆転サヨナラ3ランを打たれており、登板5試合で早くも2本目の被弾だ。昨季は救援で56試合に登板したが、被本塁打は3本。17、18年も52、53試合で3本ずつ、阪神に復帰した16年も救援38試合では3本だった。10年に58試合で7本打たれたことはあるが、日米通算250セーブを目前に、守護神が苦しんでいる。