楽天先発の涌井秀章投手(34)がベテランの力を見せつけた。雨で足元がぬかるむ中、先頭打者に許した1安打だけで7回104球無失点とほぼ完璧な投球。両リーグトップの4勝目を挙げて、チームの連敗を3で止めた。西武先発は自主トレをともにした今井で、試合前の宣言通り、高い高い壁となって立ちはだかった。

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涌井は表情ひとつ変えず、104球で7回を投げ切った。許したのは1回先頭鈴木の左前打だけ。雨が強くなった6回には2四球で2死二、三塁のピンチを招いたが、森を126キロ外角チェンジアップで空振り三振に仕留めた。

雨中の戦いは今季2度目。ベテランらしく投球術は熟知している。「バットとボールが滑るので、ストライクゾーンで勝負するのが雨の日の戦い方」。直球をどんどんゾーンに投げ込み、ファウルでカウントを稼ぎ、有利に試合をすすめた。7回はなんとわずか3球で終了。「プロに入ってからはないと思います。あそこで3球で終われて、いいリズムになった」。打線はその裏、一挙6点を奪って試合を決めた。

西武先発今井とオフの自主トレをともにした。試合前には「威厳じゃないですけど、壁として立ちはだかりたい」と宣言していたが、いざ始まると「相手ピッチャーと対戦するわけじゃない。自分は対バッターで集中できました」。今井が制球がおぼつかなかった4回に崩れたのとは対照的に“大人の投球”で違いを見せつけた。

楽天はこの日が有観客になってから初めてのホーム戦。あいにくの雨で観衆は2320人にとどまったが、ファンの声援も力にして連敗を3で止めた。「雨が降ってきた時の、とあるおじさんの『涌井がんばれ』という声とか。気持ちが入るし、緊張感も出てくるので、お客さんがはいってくれてよかった」。これで開幕から4戦4勝。成績で競っているエース則本昂をも上回りハーラートップに立った。お立ち台では「改めまして涌井です。これからもっと勝てるように頑張っていきます!」と力強く誓った。【千葉修宏】

▼楽天涌井が今季4試合で4勝目。開幕4戦4勝は西武時代の07年、ロッテ時代の16年に次いで3度目になり、3度記録した投手はプロ野球史上初めて。また、勝敗なしを挟んだケースを含め開幕4連勝を3球団でマークしたのは工藤公康(87、91年西武、95、97年ダイエー、04年巨人)に次いで2人目になる。