巨人が誇る「トイ・ストーリー打線」が、本拠地・東京ドームにやってきた~♪ 今回は岡本和真内野手(24)の単独主演。「バズ・ライトイヤー」ばりの肉体を持つ「2代目・若大将」が、豪華な1発を放った。リーグ独走の14号は、プロ初の満塁本塁打。ナゴヤドーム、神宮に次ぐ「トイ・ストーリー打線」第3弾にふさわしい、ド迫力の1シーンをファンに届け、チームを7年ぶりの広島戦5連勝へ導いた。

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スクリーンの幕が開いた。舞台は5点リードの6回1死満塁。体重100キロの「バズ・ライトイヤー」岡本が、打席に参上した。初球は外角151キロでボール。球場のファンは上映を今か、今かと待ちわびている。2球目は甘く入ったスライダー。巨人打線で開幕から唯一不動の4番を任される「2代目若大将」。銀河の平和を守る本家スペースレンジャーのごとく、「バズ岡本」もあらゆる訓練を受けてきた。レーダーも正常に反応。絶好球と判断し、狙いを定めた。

宇宙船のような東京ドームに、鋭いレーザー光線が放たれた。日刊スポーツ調べでは、着弾まで「3・79秒」。敵を粉砕するにふさわしいライナー性の打球は、文字通り、あっという間に届いた。“上映時間”わずか「3・79秒」の超ショートフィルム。短編であっても、主役のプロ初の満塁本塁打であれば、ファンは大満足。スタンディングオベーションとはならずとも、満面の笑みで拍手を送った。

「バズ岡本」だって、舞台を降りれば、純朴な24歳だ。チームで移動する時や、イベントなどに出演する際は試合中に醸し出すどでかい存在感を消す。「僕は人混みが苦手なんですよ」と言うように「オフ」は、ひっそりとたたずむ。それでも、“役”に入り込めば、恐怖のキャラクターに一変。本物の役者だ。原監督も「まあこれからたくさん積み重ねるでしょう」と今後の活躍を疑うはずがない。

本人は広報を通じて「特にないですね。追加点がとれたことが良かったです!また、打てるように頑張ります」。自身初の満塁本塁打に対して、PR活動は消極的。それでも「見てもらえれば、分かる」と言わんばかりに、数字が語る。2位の広島鈴木誠に4本差をつけるリーグ独走の14号。おもちゃの世界のごとく暴れ回る男は、48発ペース。「無限のかなたへ」上映は続く。【栗田尚樹】

▼岡本がプロ入り初の満塁本塁打。満塁では通算36打席目で初の1発だった。巨人の4番打者が満塁本塁打を打ったのは17年6月3日村田以来になる。現在、岡本は24歳1カ月。通算15本の満塁弾を放った王は、初満塁弾は20歳3カ月も、4番で初めて打ったのは27歳0カ月の67年6月13日サンケイ戦。王や松井、坂本よりも初満塁弾は遅かった岡本だが、4番初満塁弾は59年5月13日長嶋の23歳2カ月に次ぎ、巨人では2番目に若かった。

◆「トイ・ストーリー打線」VTR 第1弾は、23日中日戦(ナゴヤドーム)。1-1で迎えた8回。ミスター・ポテトヘッドことウィーラーの1発などでこの回、一挙に5点を奪った。第2弾は26日ヤクルト戦(神宮)。「バズ岡本」、映画の主役が「ウッディ」ならば、チームの「顔」坂本にも1発。そして見た目は怖いが、心優しき男「レックス亀井」、任務を忠実に遂行する「グリーンアーミーメン吉川尚」の計4発で主要キャラクターが集結した。