楽天渡辺佳明内野手(23)が8日、今季初めて1軍に昇格。本拠地でのソフトバンク戦に「7番右翼」で即スタメン出場した。2回、初打席の初球を見事に左中間へはじき返し、先制の適時二塁打。第3打席でも左前打を放ち、マルチ安打と躍動した。開幕から2軍生活が続いたが、悔しさを力に変えて勝利に貢献。チームは3カードぶりの勝ち越しを決め、単独首位に浮上した。

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スイングにありったけの気持ちを込めた。渡辺佳は昇格即「7番右翼」でスタメン出場。2回1死二塁の第1打席で迷わず初球を振り抜いた。「爪痕を残そうという気持ちと、本当に今年はキャンプから悔しかったので、その気持ちも込めて打とうと思いました」。二保の115キロ低めカーブをジャストミート。鋭い打球を左中間へ飛ばした。

昨季はルーキーながら77試合に出場。「自分の中では1年目にしてはできたという感覚があって。今年はもっとやりたいという気持ちが強かった」。ふたを開けてみれば2軍スタート。対照的に、18年ドラフト入団の同期野手3人(辰己、太田、小郷)は開幕1軍で活躍。悔しさはつのるばかりだった。

ただ、そこで腐らないのが渡辺佳。3人や、自主トレをともにした鈴木大が1軍で躍動する姿を刺激にし、さらなる成長を誓った。ファームでは(1)初球から積極的に打つ(2)確実性を上げる(3)追い込まれても粘って四球を取る、の3点を徹底的に追求。殊勲の一打に「(2軍と)やることは変えずに打席に入ろうと思い、その結果、初球のカーブを打てました」と胸を張った。

苦しい状況でもあきらめない姿勢は、祖父の元智氏から指導を受けた横浜高時代に培った。同校の大先輩でもある涌井が、ノーヒットノーランまであと2アウトの快投を演じた5日の試合はテレビで観戦。「早く一緒に試合がしたいという気持ちと、あの試合で一緒にやりたかったという気持ちがあって。でもこうやってチャンスができた。次はしっかり(涌井の)後ろを守って、また打てればいいと思います」。目を輝かせて話した。【千葉修宏】