日本ハムは19日、栗山采配が的中して2位ロッテに3-1で競り勝った。1-0の6回無死一、二塁から、代打杉谷拳士内野手(29)の犠打などで1死満塁とし、代打大田泰示外野手(30)が追加点の左前適時打。左翼手が打球処理を誤る間に二塁走者もホームを踏み、貴重な2点を加えた。今季本拠地最多8740人の観衆の前で、チームは5カードぶりの勝ち越しを決めた。

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わずか3分-。日本ハム大田が電光石火の仕事ぶりで、貴重な追加点をたたき出した。この日は、ベンチスタート。出番がやってきたのは1-0の6回だ。中田、渡辺の2連打でチャンスを作り、栗山監督が動いた。まずは代打杉谷が、相手のシフトをかいくぐる絶妙バントを三塁線に決め、さらに広がった得点機。ビヤヌエバが四球を選び1死満塁となったところで「試合に入っていく準備はしていた」という代打大田が打席に立った。

初球スライダーを空振りし、2球目。同じようなコースに来たスライダーを、バットを折りながら、しぶとく左前へ運んだ。「なんとか間に落ちてくれればという思いで走りましたけど、落ちてくれて良かったです」。自己最長を更新する13試合連続安打と絶好調。代走を送られ、この日の仕事を3分ほどで終えた2日連続のヒーローは「ウルトラマン、頑張りました」と胸を張った。

前日18日は渡辺、この日は大田が“休養”としてベンチに控えた。新型コロナウイルスによる開幕延期で、過密日程となった異例のシーズン。栗山監督は交代で主力に休養を与えながら戦う考えだが、打順を組むのは「ただ、ひたすら難しい」と連日頭を悩ませる。「負担を減らすために(主力)メンバーを休ませながら、休んでいる人が分からなくなるような感じ」に新戦力の台頭で底上げできれば理想だが、簡単にはいかない。

観客の入場制限が緩和された最初の試合で白星スタート。大田は「人が入っているスタンドを見ると、いつも以上にやる気になったり、緊張もする。やっぱり、ファンあってのプロ野球。感謝の気持ちです」。最高のパフォーマンスで、球場に戻ってきたファンの心を、がっちりつかんだ。【中島宙恵】