JR北海道クラブが2年ぶり16度目の本大会(11月22日開幕、東京ドーム)出場を決めた。代表決定戦で航空自衛隊千歳を8-2で退けた。先発の2年目右腕、伊藤宏太(23=北翔大)が6回2失点と好投。9回にはベテラン福山雄(37=法大)が打者3人で締めた。昨年は都市対抗、日本選手権ともに道予選敗退で8年ぶりに全国を逃した。「原点回帰」をスローガンに、新旧融合で復権したチームが全国に乗り込む。

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9回をわずか9球、3人で締めた37歳福山のもとに、JR北海道クラブナインが雄たけびを上げながら駆けだした。8人の新人もベテランも一緒になって笑った。12年目右腕は感慨深げに「代表権を獲得する瞬間のマウンドは誰もが味わうことはできない。格別ですね」。2年ぶりに全国の舞台に駒を進めた。

初回に死球と連打で先制すると、5回までに8得点。投手陣も先発伊藤が4、5回の1失点ずつに食い止め、7回以降は2投手で無失点リレー。18年10月の就任後、初めて全国大会出場を決めた南則文監督(49)は「原点に立ち返った。9回を通して流れを止めない。攻め続ける」。劣勢時に沈みがちだったベンチの声出し1つから、見直した末の快勝だった。

日本選手権(8度)も含めて、全国出場は23度。平成以降では道勢最多だ。07年都市対抗は3位。福山は「正直連続で出ているときは(道予選は)『全国に向けて』という感覚があった」。そんなチームが昨年、8年ぶりに全国を逃した。嶋田源太郎主将(31)は「若い選手が多いチーム。受け身になったら負ける」。今季は選手の発案で「原点回帰」をスローガンに打ち立てた。練習試合から勝利にこだわり、勝者の精神を身に付けてきた。

最速152キロを誇る伊藤も、制球に重きを置く“原点”に立ち返って最優秀選手を獲得。「実力を全国舞台で発揮できるようにしたい」。チームが積み上げた6勝を含め、都市対抗での北海道勢白星は98勝。4年ぶり全国1勝から復権ののろしを上げる。【浅水友輝】

<表彰選手>

▽最優秀選手賞(砂沢賞)伊藤宏太(JR北海道クラブ)

▽殊勲選手賞(水谷賞)野中歓太(航空自衛隊千歳)

▽敢闘選手賞(森賞)松浦昌平(JR北海道クラブ)

▽首位打者賞 米満凪(北海道ガス)

▽若獅子賞(新人賞)井内駿(JR北海道クラブ)

▽敢闘賞 浦崎祐介(オール苫小牧)