阪神で選手5人、スタッフ2人の新型コロナウイルス感染が判明する緊急事態が起きた。

2軍で浜地真澄投手(22)の感染が24日夜に確認され、1、2軍首脳陣と選手、スタッフら全員のPCR検査を実施。25日に糸原健斗内野手(27)陽川尚将内野手(29)岩貞祐太投手(29)馬場皐輔投手(25)の1軍4選手、同スタッフ2人の感染が判明し、浜地とスタッフ2人は入院した。濃厚接触者らを含めて計19人を入れ替えて臨んだ25日のヤクルト戦(神宮)は競り負けた。

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緊急事態の中、残された阪神ナインは力を尽くしたが、あと1歩及ばずヤクルトに逆転負けした。矢野監督も「いるやつでどう頑張れるか、ってところだったと思うし。そういう気持ちはみんな持ってやってくれた」と懸命の戦いを振り返った。

同点の6回無死二、三塁。坂本がカウント2-1からスクイズを仕掛けた。しかし、2番手梅野の外低めカットボールに空振り。三塁走者の大山が挟殺となり、勝ち越し機を逃した。その裏に粘投を続けていた西勇が、西浦に決勝の左前適時打を許した。攻めの采配は実らなかった。

新型コロナ感染者が出た影響で、計19人を入れ替えた一戦。ベンチには精神的支柱の福留、主将の糸原がいない。ブルペンでは29試合に登板した岩崎や、5勝を挙げている岩貞の姿もない。この日のウエスタン・リーグ中日戦(ナゴヤ)に先発するはずだった藤浪は遠征先から駆け付け、中継ぎ待機。同じく緊急昇格だった能見は7回に2番手で登板し、無死一塁から荒木にバスターで2ランを浴びた。この日は宿舎でのミーティングもできず、“名古屋組”が球場にたどり着いたのは、試合開始の約1時間半前。ドタバタ感は拭えなかった。

この状況の受け止め方を問われ、矢野監督は約20秒間、言葉を詰まらせた。「うーん…。まあ、どうなんかな…。ちょっと言葉が難しい…。なんとも言いようが難しい」。気持ちの整理は簡単ではないはずだ。それでも、急きょの出番で奮闘も光った。木浪に代わって「8番遊撃」で先発した小幡は、4回1死二塁からプロ初長打となる三塁打を放ち3点目を呼び込んだ。代打では緊急昇格の上本、北條、高山が出場。北條は3点差の9回に先頭で左前打を放った。全員が最後まで諦めない姿勢を見せた。

指揮官は複雑な感情を抱えながらも、必死に前を向いた。「まあ…やれることをやるしかないしね。その瞬間に精いっぱいやるしかないので。苦しい状況は状況だし、でも、いる選手にとってはチャンスやし」。首位巨人とは今季最大12・5ゲーム差。どんな状況でも、戦い続けるしかない。【磯綾乃】

▽阪神福原投手コーチ(救援陣から岩崎、岩貞、馬場が抜けたことに) いるメンバーで頑張ってもらうしかない。誰がどの回に行くかはなかなか決められないですけど、今いるメンバーにとってはどういった形であれチャンスなので。(藤浪、斎藤の起用法は)こればかりは投手の頭数も現状いないので、いろいろ考えます。

○…25日のウエスタン・リーグ中日戦(ナゴヤ)は中止となったが、谷本副社長は26日以降の2軍戦の開催に向けて関係各所と最終協議中とした。浜地以外の2軍選手はPCR検査で全員陰性だったため、関西に残っているメンバーを招集することなどを検討。「なんとか試合を挙行したい。明日以降は試合再開を見込んでおります」。鳴尾浜での残留練習についても「支障ない者は再開させます」とした。