負ければ5位後退の窮地を救ったのは、悩める背番号21だった。日本ハム清宮幸太郎内野手(21)が、26日オリックス戦(京セラドーム大阪)で、1-4の9回1死満塁から代打で登場。オリックスの守護神ブランドン・ディクソン投手(35)から、起死回生の同点適時二塁打を放った。チームは延長戦の末、10回に勝ち越し。約1カ月ぶりの適時打は、逆転を呼ぶ価値ある一打となった。

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たまっていた鬱憤(うっぷん)を、吐き出すように打球に乗せた。3点ビハインドで迎えた9回1死満塁。「代打清宮」はスタンドの拍手に背中を押されて、打席に立った。マウンドには、プロ初本塁打の相手、オリックスの守護神ディクソン。1ボール2ストライクと追い込まれてからの4球目だった。真ん中へ来たナックルカーブを、すくい上げた。「(カーブは)頭にはありましたけど、いいところで打てたと思います」。左中間フェンスを直撃する走者一掃の同点二塁打。約1カ月ぶりの打点に、手をたたいて喜んだ。

24日西武戦(メットライフドーム)。5年ぶりの20安打を記録したチームにあって、スタメンでただ1人、無安打に終わり「めっちゃ気になってました」。栗山監督にも「20安打も出たんだから、1本くらい打てよ」と冗談交じりに言われる始末。折れてしまいそうな心を「大事なところで価値のあるヒットが打てたら」と奮い立たせる。

清宮 いつも悔しい気持ちばっかりですけど、結果うんぬんっていうより、どれだけいい打席を過ごせているかということに焦点を当てて考えられている。

前日25日にはオリックス山岡から1安打も「スライダーを打ちあぐねてしまった」。反省を生かし、体の内側からバットを出す意識に集中したことが、この日の結果につながった。

守備でも走塁でも、まだまだミスが目立つ。打率は1割9分1厘。「チームに貢献できなくて一番苦しんでいるわけだから。どういう姿で野球をするのか(が大事)」と親心で説く栗山監督は「今日のは別に、どうでもいいんだ」と素っ気ない。それでも、清宮が打った瞬間はベンチを飛び出しそうな勢いで、喜びを隠せなかった。「迷惑ばかりしかかけていないので、少しでも多く取り返せるように頑張りたい」と清宮。まだまだ、挽回のチャンスは残されている。【中島宙恵】