今季限りで現役引退する阪神藤川球児投手(40)が、今季東京ドーム最終戦で東京のファンに別れを告げた。

試合終了後に「ただいまから藤川球児投手がファンの皆様にあいさつに向かわれます」のアナウンスが流れ、藤川が登場。登場曲「リンドバーグ」の「every little thing every precious thing」が流れるなか、駆け足で左翼スタンドへ向かい、ファンに手を振りながら歩いた。本塁付近まで向かうと、巨人ファンのいる一塁側と右翼側へも一礼。最後の東京ドーム3連戦で登板機会はなかったが、マウンドで記念写真を撮るなど、穏やかな笑顔を見せた。

東京ドームもまた、藤川の伝説を彩った球場だ。05年4月21日、500号本塁打に王手をかけていた清原をフォークで三振に仕留めると「チ○ポコついとんのか」と痛烈に批判された。因縁の再戦だった6月25日は甲子園で、5球連続ストレート勝負などで三振を奪った。絶対的な「火の玉ストレート」を磨く一因になったシーンだった。

絶頂期のすごみが表れたのは、07年終盤だ。8月30日広島戦からはセ・リーグ記録の10連投で10連勝に導く離れ業。10連投目となったのが東京ドームでの巨人戦だ。9月9日、40セーブ目を挙げた試合後、額に汗を浮かべながら「面白かったんじゃないの。僕も楽しんでました」と振り返った。この年は守護神として、当時の日本タイ記録となるシーズン46セーブを挙げた。

この日の試合前練習では、藤川のおなじみの登場曲が流れるサプライズもあり「自分1人で感傷に浸っていたところを、こうして曲を流してもらえたことで、ゲーム前ですけど、球場全体の皆さんと感情を共有してもらえたことがうれしいですし、感激です。ジャイアンツさんに感謝ですね」と感謝していた。打倒巨人に執念を燃やし、さまざまな思い出がつまった敵地東京ドーム。最後は温かい拍手で送り出された。