広島九里亜蓮投手(29)が、8回途中3安打無失点で8勝目を手にした。自己最多タイの10三振を奪う力投で、自身4連勝を飾った。

プロ7年目にして、自身初のシーズン規定投球回到達&2桁勝利は目前。26日のドラフト会議で1位指名されたトヨタ自動車・栗林良吏投手(24)のニックネームは「クリ」。鯉の元祖“クリ”が、先輩の威厳を示した。チームは、シーズンのヤクルト戦で5年連続の勝ち越しとなった。

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九里が、悔しさを押し殺しながら一塁ベンチへと下がった。8回2死満塁のピンチを残し、無念の降板。2番手塹江が村上から空振り三振を奪い、九里の勝ち星を守ってくれた。8回途中3安打無失点の力投。だが前回20日阪神戦も9回途中で降板しただけに「前回同様に回の途中で降りて悔しいですけど、塹江のおかげで勝つことができた。感謝しかないです」。試合後、ウイニングボールを塹江に譲った。

7回までは無双だった。初回にいきなり1死一、二塁のピンチを背負うも、村上、塩見を連続空振り三振に仕留めた。2回以降は低めに球を集め、三振を奪っていった。17年4月16日阪神戦以来、プロ2度目の2桁奪三振となる自己最多タイの10三振を奪った。しかし「僕自身、三振を取る投手ではないので、意識はしてません。調子自体はそんなに良いとは思ってなかったですけど、粘り強く投げることができてよかった」と冷静だった。

来季からは新しい“クリ”がチームメートとなる。26日のドラフトで1位指名の栗林のニックネームは「クリ」。九里は普段から下の名前のアレンを始め、アレックス、アレキサンダー、ザックス、リラックリなどと呼ばれることが多いという。「あんまりクリって呼ばれたことがないので、クリはあげます」とあっさり譲り、呼び名重複の危機? を切り抜けた。

プロ7年目で初のシーズン規定投球回到達まで残り7回1/3。初の2桁勝利達成も視界にとらえた。「最少失点でゲームを作れれば、そのチャンスは自然と出てくると思う」。自身4連勝と波に乗るが、森下が9勝を挙げているだけに「今一番勝っているのは森下なので、そこに負けないように、それを思って頑張ってます」と笑みを浮かべた。まだ29歳。「まだまだレベルアップしていかないといけない」。若手の勢いに負けじと、先輩の意地を見せていく。【古財稜明】

▽広島佐々岡監督 (九里の8回続投は)行きたいという気持ちをくんで、もう1回行ってもらった。ここにきて、本当にいい投球を続けてくれている。