ロッテの勝利の方程式が解体の危機にある。唐川侑己投手(31)が2018年(平30)に取得した海外FA権の行使を検討していることが16日、分かった。関係者によると、ここ数年、今後の野球人生について、より真剣に考えるようになった様子が見られ、昨年には代理人と契約し、準備を整えたという。

今季は空振りの取れるカットボールを武器にリリーフを主戦場としてきた。7月30日の初登板から快投を重ね、守護神の益田、沢村、ハーマンとともに勝ちパターンを担った。32試合に登板し防御率1・19の成績で、日本シリーズには届かなかったが、クライマックス・シリーズ進出の原動力ともいえる救援陣の安定感をもたらした。

視野に入れているのは国内移籍で、メジャーについては考えていないとみられる。年俸ランクはCランクのため、移籍となっても人的補償が発生しないことは後押しになる。近く、球団としっかり話し合った上で、どうするか決断する見込みだ。

地元千葉の成田高出身で高卒入団1年目から15試合に先発し5勝を挙げるなど、チーム内でも人気の高い選手。シーズン最終戦を終えたばかりだが、海外FA権を行使してのメジャー挑戦を検討している沢村。来季に向けて交渉中のハーマン。そして唐川。球団としてはリリーフ陣との残留交渉が、いきなり局面を迎えることになる。

◆FAメモ FA有資格者が権利を行使するための申請期間は、日本シリーズ終了日の翌日から土、日曜日と祝日を除く7日間。期間中に在籍球団へ権利行使の意思を伝え、期間終了の翌日に「FA宣言選手」として公示される。公示翌日から交渉が可能となる。宣言選手は旧球団の年俸順位でA(1~3位)B(4~10位)C(11位以下)にランク分けされ、ランクによって旧球団への補償内容が異なる。

◆唐川侑己(からかわ・ゆうき)1989年(平元)7月5日、千葉県成田市生まれ。成田高2年春、3年春に甲子園出場。07年高校生ドラフト1巡目でロッテ入団。08年4月26日ソフトバンク戦でプロ初登板初勝利、平成生まれのプロ勝利投手第1号に。11年にはチーム最多の12勝をマーク。18年途中から中継ぎ転向。181センチ、80キロ。右投げ右打ち。