阪神藤浪晋太郎投手(26)が8日、甲子園室内練習場で自主トレを公開し、オンライン取材で「打倒巨人」を誓った。昨季は中継ぎで球団最速162キロを計測するなど復調気配を漂わせたが、巨人打線には球団史上ワーストの1試合11失点を記録するなど苦戦。チームも8勝16敗で9年連続負け越しを食らった。宿敵はこの日、大リーグ各球団との移籍交渉を進めていたエース菅野の残留を発表。今季も手ごわい王者に対して「やられたからには、やり返したい」と力を込めた。

菅野、巨人残留。藤浪はもちろん、ニュースの持つ重みを敏感に感じ取っていた。打倒王者。新年早々、決意を再確認するには十分すぎるトピックスだ。

「チームとしても去年、ジャイアンツに勝てなかった。個人的にも巨人には結構やられた。ジャイアンツだからと言うわけではないけど、ああいう組織力のあるチームを倒していかないと優勝は見えてこない。強いチームという意味で意識していきたい」

20年のチーム対戦成績は8勝16敗。9年連続負け越しを食らった。藤浪にとっては、プロ1年目の13年からチームとして1度も勝ち越せていない相手。「常に自分たちの上にいるチームだった」。宿敵は今オフもDeNAから井納、梶谷を、メジャー通算196発のスモーク、同通算96発のテームズも獲得するなど大補強を続けた。16年ぶりのV奪回へ、避けて通れない強敵に違いない。

個人的にも、雪辱を期す感情がないと言えばウソになるだろう。巨人戦は16年4月5日以来、白星がない。昨季は巨人戦に中継ぎも含めて3試合登板、0勝2敗、防御率7・07。9月5日の甲子園では球団史上ワーストの1試合11失点も喫した。年が明けても、あの悔しさだけは忘れない。

「やられたからには、やり返したい。しっかり抑えていきたい」

自然と言葉に力がこもる。

今季は先発1本で勝負を懸ける。チームは今オフにロッテからメジャー59勝のチェン、韓国リーグから昨季20勝したアルカンタラを獲得。巨人戦リベンジへ、まずは激しいローテ争いを勝ち抜く必要がある。

「結果を出さないとローテーションに入れない。アピールには結果を出すしかない。内容的に、これだったら藤浪を使いたいなと首脳陣に思ってもらえるような投球内容だったり、自分のスタイル的に三振を取っていったり、力強さがポイントになってくる。その辺りをしっかりアピールできればなと思います」

昨季は1勝どまり。立場を自覚した上で、キャンプからのイメージは明確だ。

年末年始は体幹トレ、肩甲骨や股関節の可動域アップに励んだ。この日は甲子園室内練習場で自主トレを公開し、キャッチボール、ランニング、ウエートトレなど約2時間30分、懸命に汗を流した。「近々、投球練習も開始すると思います」。準備に余念はない。

「ここ数年しっかり数字を残せていない。数字、結果で示せる1年にしていきたい。エース級に投げ勝ってこそ。まずはローテに入ることを目標に、いいカードを投げさせてもらえるようになれば、そういうところでもしっかり投げられればと思っています」

強い覚悟を胸に、王者に立ち向かう。【佐井陽介】