令和のミスタープロ野球候補だ! 阪神ドラフト1位の佐藤輝明内野手(22=近大)が、西武戦(メットライフドーム)の2回、3試合連続弾を決めた。新人のオープン戦6号は、1966年(昭41)のドラフト制後では最多記録で、58年に長嶋茂雄(巨人)がマークした7本にもあと1本に迫った。3戦連発は長嶋もできなかった快挙で、10戦6発の量産はシーズン143試合換算で驚異の86発ペース。オープン戦は残り3戦あり、ミスター超えで開幕前に新伝説を残す勢いだ。

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佐藤輝は150キロ直球に力負けすることなく、右中間最深部へたたき込んだ。「すごい、いい感触だった。まあ、遠くへ飛ばせるのは自分の持ち味なので」。相手投手は西武今井。甲子園とは縁がなかった仁川学院(兵庫)3年夏、作新学院で全国制覇した右腕だった。「もちろんテレビで見たりしていました。今は同じ舞台に立っているんで負けないように」。佐藤輝もその甲子園を本拠地とする阪神で、今や全国区で輝く大スターの活躍を見せている。

オープン戦6号はドラフト制後の新人では72年佐々木恭介(近鉄)を抜く最多記録。矢野監督は「毎日、毎日びっくりさせられる。打ったら打ったで、もうシーズンでええのにと思ったり。オープン戦とはいえ、力がない人に塗り替えることはできない」と、その実力に改めて驚くしかなかった。

長嶋が58年の巨人新人時代にマークした7本塁打にあと1本と迫った。3戦連発は長嶋でもできなかった離れ業だ。残り3試合は京セラドーム大阪でのオリックス3連戦で、初戦の19日は開幕投手に内定している山本の先発が予想される。ここまでソフトバンク石川、西武高橋と今季の開幕投手からも本塁打を打っているだけに、4戦連発の由伸打ちで長嶋に肩を並べる期待が高まる。

ただ、佐藤輝本人は冷静に言った。「オープン戦なので関係ない。打てたことはうれしいですけど、(記録への意識は)ないです」。本塁打を打った6試合は5勝1分けと不敗神話が続き、チームのオープン戦首位快走に大きく貢献している。「勝つために、シーズンに入っても打ちたい」。10戦6発の量産はシーズン143試合換算で驚異の86発ペース。チームが16年ぶりVを目指す公式戦本番で、勝利を呼ぶ1発を放つことが最大の喜びだ。

「一番いい打球は本塁打。安打を狙うこともあるけど、基本的には」。本塁打の打ち損ないが安打と割り切り、豪快な打球を飛ばし続けている。「ファンの期待に応えるのがプロ野球選手だと思う」。阪神ファンだけではない。本家ミスターのように、打席に立つたびに全国の野球ファンをワクワクさせる存在になりつつある。【石橋隆雄】

▽西武辻監督(阪神佐藤輝に)「あそこまで飛んで着弾、打球の速さはすごいなと。あの右中間はすごい。それだけのホームランバッターだなと感心したが、彼もやっぱり研究され、バッティングカウントですっと真っすぐ放るようなこともないですし、そんな中で成長していけば、すごいバッターでしょうね」

▽西武今井(同世代の阪神佐藤輝に1発を浴びるなど5回4失点)「ストレートに振り負けない鋭いスイングでした。結構飛ばされてしまいましたね。インハイで勝負すればよかったかと…。悔いが残りますし、悔しいです」

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