「2021 JERA クライマックスシリーズ セ」の第2戦が7日、甲子園で行われ、阪神が巨人に2連敗を喫し、ファーストステージで敗退した。来季に向けたオフに突入するが、去就が注目される阪神梅野隆太郎捕手(30)が、今季取得した国内フリーエージェント(FA)権行使の可能性も含めて今後熟考していくことが7日、分かった。他球団への流出となれば、チームにとって大打撃だ。

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矢野阪神が早すぎる終戦の時を迎えた。シーズン前半戦の快進撃から、失速。そしてV逸。CSファーストステージも巨人に2連敗を喫しての敗退となった。17年ぶりのリーグ制覇へ、チームの再構築が求められるオフで、最大の懸案事項がある。今季国内FA権を取得した虎の正捕手・梅野が権利行使の可能性も含めて熟考していくことが判明。流出の事態となれば、大きな戦力ダウンは避けられない。

梅野は13年ドラフト4位で入団し、プロ8年目シーズンが終了。今年5月13日にはFA権を取得していた。プロ野球人生の節目で、今後の進路を慎重に検討する。第一には自分を育ててくれた球団への恩義と、熱く応援してくれるファンへの強い思いがある。14年のプロ1年目から1軍で経験を積み、17年から正捕手に定着した。今年も開幕スタメンマスクをかぶり130試合に出場。夏には侍ジャパンの一員として東京五輪で金メダルを獲得した。球界を代表する捕手になるまでに育て上げてくれた。

プロ野球随一の熱いファンの思いも感じている。いい時も悪い時も、変わらず熱烈な声援を送ってくれる。梅野自身もやりがいを感じ、阪神愛も感じている。

その一方で、脂の乗った30歳。他球団の現状や自身の評価を聞いてみたいという思いもある。シーズンが終了し、さまざまなことを頭に浮かべながら、今後について熟考していく。

この日は10月10日ヤクルト戦以来のスタメン出場。2回1死から中越え二塁打を放ち、先制機を演出。守っても懸命に投手陣をリードしたが、白星にはつながらなかった。「シーズントータルで考えたらリーグ優勝できなかったことはキャッチャーとしての責任を感じます。まだまだこの若いチームは発展途上だと思うので、課題を持ってまた来年に向けてスタートしていきたい」。悲願のリーグ優勝をあと1歩で逃した責任を感じながら、来季へ懸命に前を向いた。

梅野は「自分の成長の中で五輪、優勝争いと本当にいい経験ができた1年だったかなと思います。この経験を生かして来年はやるしかないという思いが強い」と今季を振り返った。じっくり考えて、後悔のない道を選択する。

◆梅野隆太郎(うめの・りゅうたろう)1991年(平3)6月17日生まれ、福岡県出身。福岡工大城東-福岡大を経て13年ドラフト4位で阪神入り。17年から3年連続100試合出場と、阪神の正捕手の座についた。19年4月9日DeNA戦では、阪神捕手として初のサイクル安打を達成。18~20年には3年連続ゴールデングラブ賞受賞。今年の東京五輪にも出場し、金メダル獲得に貢献した。173センチ、75キロ。右投げ右打ち。