ロッテは今季から球団本部内に「コーディネーター」部門を新設した。永野吉成氏(53)が統括コーディネーターに、吉井理人氏(56)がピッチングコーディネーターに就任する。

主な役割として「1、2軍監督、コーチと状況共有、全選手の状態、課題把握」「中長期的視点の強化施策策定・実施」などが挙げられている。

5日、ZOZOマリンで河合克美オーナー代行兼球団社長(69)が年頭会見でコーディネーター職についてあらためて言及した。

「現場のコーチはどうしても、今の状況をどうするかということがまず第一になるじゃないですか。けれど、中長期で見た時に今やるべきことがそこじゃないかもしれない」

ロッテは2025年時点で常勝軍団になることを目指し、育成計画を進めている。そのトータル戦略と現場での課題解決を近づけていく役割を、コーディネーターが担っていくという。

育成選手が活躍する土壌がつくられ始め、昨季は支配下契約2年目の和田康士朗外野手(22)が盗塁王に輝いた。24打席で24盗塁。抜群の脚力を生かし、ほとんどが代走出場による盗塁だった。河合オーナー代行は高く評価しつつ「それでは中長期で見た時に走りのスペシャリストにしかならない」と話す。

「我々が彼に期待しているのは出塁率も上げて、レギュラーで絶えず張っていて走れれば、もっととてつもない記録が出せるはずですよね。そのために何をしなくちゃいけないかっていうことがまだまだ足りてない。明確な課題として捉えられていると思います」

19年創設のチーム戦略部があらゆるデータから各選手の強みと弱み、チームの強みと弱みを抽出し、常勝軍団への道筋で各選手がどう改善していくかを定める。コーディネーター職の役割の1つが、その策定・運用への関与になる。前出の和田もスペシャリストではなく、あくまでも近未来のレギュラー候補と定め、より多角的に成長を促していく。

選手個々についての「今こそすぐに1軍に上げるべき」「2軍でここをやらせてからじゃないと上げられない」といった判断も、より全体戦略の中で協議されていくことになりそうだ。未来と現在の、フロントと現場の結節役に。その効果が今後、注目される。【金子真仁】