高知・安芸の秋季キャンプで若虎を指導中の阪神久保田智之1軍投手コーチ(41)が日刊スポーツのインタビューに応じた。今季は2軍投手コーチを務めたが、岡田彰布監督(64)の就任にあわせて昇格。伝説トリオ「JFK」の一角を担い、07年にプロ野球記録の90試合登板を果たすなど実績を残した。タフネス右腕が、求める中継ぎ像などを語った。(聞き手=前山慎治)

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-90登板などがあった。今の時代と違う部分があるがどうやって登板数を重ねられる

「僕の登板数に関しては関係ないですけど、中継ぎというのはある程度1年間を通して投げていかなくちゃいけない部分なので、大変ですけど今は若い選手に自分の力を出せるように真っすぐの強いボールを求めて行ってほしい。その中で、自分に自信を持てるようにしていってもらえたらいいなと思います」

-背番号90は90試合登板とかかっている

「いや、違います。たまたま(20年まで阪神2軍投手コーチを務めていた)香田さんの90が空いたから。岡田監督には言われましたけど(笑い)。『お前それ90試合登板のあれか』って。いや、違います、と」

-若手のピッチャーが90試合投げたいと言ってきたらどうする

「投げたいとは言ってこないと思います(笑い)。70試合投げたいとか言われても、別に投げるのは誰だってできるし、こっちが使えば。そういうことじゃないよなと。結果も残さないといけないし、その中で中継ぎなら60試合前後で年間通して大体それくらいかなと思うんで、そこらへんの方を意識してほしいですね」

-中継ぎで結果を出すには直球の威力が必要になる

「中継ぎだけじゃないですけど先発もそうですし、ピッチャーは真っすぐが軸になってくると思うのでその真っすぐがより強い方がいいと思いますし、その真っすぐでファウルとか取れれば自分も楽になりますし、組み立てもしやすいのでそういうところは求めていって欲しいなと思います」

-中継ぎ適性はどう見極める

「条件としては、肩がすぐできる。行くぞと言われてすぐできるのと、ある程度のコントロール。真っすぐの力、空振りを取れるボール。それを求めたらなかなかいないんですけど、求めたいところで言ったらそういうところかなと思いますね。中継ぎって三振取りたい時に取れるボールがないときついと思いますし、中継ぎって打たせて取るのはなかなかいないと思うんで、力で押せるか、空振り三振取れるかだと思うので、そこらへんは欲しいとは思いますね」

-芽が出てきそうな選手は

「全員ですね。そりゃ全員です。もちろん」

-時代の流れかもしれないが、日本シリーズでオリックス中嶋監督は中継ぎ投手を3連投させずにベンチを外した。こういう時代はどう感じる

「それは選手のことを思ってやっていることだと思うので、いいと思いますし、僕は投げたがりだったので別に休みとかもいらないと(現役時は)思ってました」

-休みがある分、より自身のパフォーマンスに集中してほしい

「そこは難しいとは思うんですけど、選手の受け止め方じゃないですか。そうやってベンチを外したのを本当に休ませるためと、説明して外されてるとは思うんですけど、選手によっては僕みたいに別に外れなくても投げられるよと思っている選手もいると思うのでそこら辺はちょっと、人と人、考えの違いとかもあると思うので何がいい、とかないと思うんですけどチーム編成とかもそういう状況的にそうしたのであって悪いことではないと思います」

 

◆久保田智之(くぼた・ともゆき)1981年(昭56)1月30日生まれ、埼玉県出身。滑川(現滑川総合)3年夏の甲子園では、捕手で先発した後に救援登板も果たした。常磐大を経て02年ドラフト5巡目で阪神入団。優勝した05年には、ジェフ・ウィリアムス、藤川球児とともに救援ユニット「JFK」を形成。27セーブを挙げた。07年の年間90試合登板はプロ野球最多。07、08年には最優秀中継ぎ投手。14年引退。通算444試合、41勝34敗47セーブ117ホールド、防御率3・16。現役時代は181センチ、95キロ。右投げ右打ち。引退後は阪神で打撃投手やプロスカウト、2軍投手コーチを歴任した。