＜オープン戦：ヤクルト１－５阪神＞◇２１日◇浦添

　阪神で売り出し中の高卒３年目横田慎太郎外野手（２０）がまた複数安打をマークした。４回に先制二塁打を放つなど５打数２安打１打点。グラウンドを縦横無尽に走り回り、オープン戦初戦を快勝で飾った金本監督を「見ていて、本当に楽しい。漫画の主人公に出てきそうなタイプだね」とワクワクさせた。

　均衡を破るのは、主人公の役割だ。４回２死一塁からヤクルト２番手山中の緩い初球を捉えた。「真っすぐを狙っていたんですけど、反応しました」と体が動いた。中堅右への適時二塁打で、二塁まで全力疾走。中堅の守備に就く際にファンの声援に深々とお辞儀した。

　３年目で初の１軍キャンプ抜てき。姿や動きは決してスマートではないが、なぜか実戦で結果を残す。前日２０日の楽天との練習試合でも２安打１打点を記録し、金本監督は「打てそうにないのにね。不思議だが非常に魅力がある」と表現した。１６日の楽天戦では２軍降格の土俵際で二塁打＆本塁打。これでキャンプ地の対外試合３試合すべてでマルチ安打。横田は「打たなかったら入れ替えと言っているので、何としても結果を出そうと意識している。金本監督と片岡さん（打撃コーチ）に毎日教えてもらっているので、早く結果を出したいと」と「結果」の２文字を繰り返した。

　キャンプも終盤で、ベテランも実戦に参加するようになれば、チャンスは減っていく。横田もふるいにかけられる立場。サバイバルのど真ん中で、とびきりのストーリーを展開する。【宮崎えり子】

　◆横田慎太郎（よこた・しんたろう）１９９５年（平７）６月９日、鹿児島県生まれ。鹿児島実から、１３年ドラフト２位で阪神入団。高校通算２９本塁打。垂直跳びは、球界でも屈指の８０センチ。走攻守そろった逸材で、入団当時から現掛布２軍監督から英才教育。父真之さんはロッテ元外野手。１８６センチ、９２キロ。左投げ左打ち。