巨人高橋由伸監督(40)が「個の力」を熟成させる。25日、沖縄キャンプを打ち上げ、帰京した。昨秋の就任から「個の力の育成」を掲げ、今春キャンプではドラフト1位の桜井俊貴投手(22=立命大)同2位の重信慎之介外野手(22=早大)ら若き個性を持った力が台頭してきた。当面はチーム戦術のサインは控え、3月中旬からベストメンバーを固めて開幕へ向かう。
那覇の空は穏やかな風が吹いていた。約1カ月のキャンプを打ち上げた高橋監督のタクトも、しばらくはなぎの状態が続く。「選手の能力を発揮させたい。いい状況の場面となればサインを出すが、勝つためにどうこうは考えていない」。新人監督として局面で動く想定も行っておきたい。だが指揮官は自身のことは後回しだった。
キャンプでは紅白戦を含めた実戦7戦でバントは1度もなかった。20日のDeNA戦で重信がエンドラン、23日の韓国・KIA戦で長野が三盗を仕掛けた場面以外は、ほとんど「個の力」に託すことが多かった。DeNAラミレス新監督がスクイズを敢行したり、中日谷繁監督がバントで先の塁へ進めたのとは対照的だった。ほぼノーサインに近いが「勝った方がいいけど、無理やりにという時期ではない」と戦術を遂行させることよりも、選手の能力を伸ばすことに主眼を置く。
若き個の力が芽吹こうとしている。ドラ1の桜井は実戦2試合で5回1失点。まだ対外試合で日本のプロ球団相手に投げていないが、内容では開幕ローテ入りへ前進。2位の重信も7戦で打率5割、5盗塁と外野の一角を占める勢いだ。2年目の岡本も課題の守備で進歩を見せている。高橋監督は「新しい力が出てきた。新人の桜井、重信、中川といいものを見せてくれている。新しい戦力は大事。引き続き、同じように見せてくれれば」と感じている。
個の力を熟成させ、チーム戦術と融合させる時期を図る。村田ヘッドコーチは「ベストメンバーは最後の6~7試合ぐらいでは。競争社会だからね」と構想を口にした。カレンダーに当てはめれば札幌~関西~山口・福岡遠征から帰京後の3月12日のロッテ戦以降から屋台骨を固める。すべての楽器がそろった時、高橋監督の指揮棒が激しく動きだす。【広重竜太郎】