西武山川「絶対に忘れない」被災地へ思い込めた1発

日本ハム対西武 4回表西武無死、同点本塁打を左中間に放つ山川(撮影・横山健太)

<オープン戦:日本ハム4-2西武>◇10日◇鎌ケ谷

 あの日は絶対に忘れない-。岩手・富士大出身の西武山川穂高内野手(24)が被災地への思いを込めた1発を放った。日本ハム戦の3回に左中間席にたたき込む3号ソロ。「野球選手である以上、野球で東北の方々に元気を届けたい思いはあります。3月11日という日は、絶対に忘れないです」と口元を引き締めた。

 5年前の今日は、大学1年生だった。愛知でオープン戦中に震災を知った。花巻市内の寮に戻ると部屋はめちゃくちゃ。約1週間、風呂に入れなかった。食事も即席ラーメンに湯をかけず、そのまま食べる日が続いた。それでも「自分たちよりも、もっと大変な人たちがたくさんいた。想像できないくらい、つらい思いがあったと思う」。

 決して消してはいけない記憶を胸に、プロの門をたたいた。中村と似た体格から「おかわり2世」と呼ばれながら結果が出せない日々。3年目を迎え、考え方が変わった。「開幕1軍とか考えて試合に臨んでいたら、今までと同じになってしまう。今年ダメなら、という危機感もある。でも今は結果を考えず、その1打席でどう打つか、どう振るかだけを考えています」。

 ここまでオープン戦は24打数10安打の3本塁打。結果を追い求めていた力みが消え、好循環を生んでいる。たとえ打てない打席があっても一流投手との対戦自体が糧だ。「黒田さんや則本さん、吉川さん、藤浪。いい投手と対戦出来ることが収穫。アピールするには結果しかないんですが、僕の中では無駄な打席はないんです」とうなずいた。

 開幕DHも見えてきたが、慢心はない。「自信なんてレベルじゃない。でも東北には、ひょっとしたら僕のファンもいるかもしれない。どうにか元気を、と思います」。強い決意で1球に集中する。【佐竹実】