阪神藤川、金本監督誕生日に4580日ぶり先発勝利

誕生日の金本監督(左)に花を添える阪神復帰後、初白星を挙げ笑顔で握手を交わす藤川

<DeNA3-8阪神>◇3日◇横浜

 4月3日はなんともめでたい1日だ。メジャー挑戦を経て阪神に復帰した藤川球児投手(35)がDeNA戦で6回2安打無失点と好投し、復帰初勝利を挙げた。阪神では守護神だった12年7月14日ヤクルト戦以来の勝利。先発投手としては03年9月19日巨人戦以来、13年、4580日ぶり白星を、48歳の誕生日を迎えた金本知憲監督にプレゼントした。

 勝利の瞬間、藤川は金本監督と並んで仲間をハイタッチで迎え入れた。「ボールが多くてすみません…」と頭を下げると、指揮官も「ヒヤヒヤさせるなよ!」と相好を崩す。仕事を果たした晴れやかな表情があった。

 立ち上がりから苦しんだ。球は上ずり、制球できない。1回は四死球でピンチを招き、2回もいきなり連続四球で無死一、二塁。「上体で投げている。下に力が入らなかった…」。窮地でこそ経験が生きる。高城、石田を低めフォークで空振り三振。山下幸には一転して内角速球で詰まらせた。小飛球を自らつかみ、粘り抜いた。3回以降は丁寧にコーナーを突いた。結局6回を2安打に抑えて無失点。13年ぶりの先発白星をつかんだ。

 原点を忘れず、いまを生きる。米大リーグ挑戦中に右肘を手術し、1度は引退も覚悟していた。昨季は夢破れ、独立リーグの高知でプレー。先発を重ね、登板後にはリードする若手捕手を呼んで懇々と配球を助言した。9月、シーズン終了後、退団が決まっていた藤川はナインやスタッフらを誘って高知市内の焼き肉店に出かけた。宴もたけなわになった頃、あいさつで言う。「自分はどこに行くか分からないけど、とにかくお互い野球が好きだから頑張ってやろう」。いまも練習着やバットを送り、気にかける。野球を愛する気持ちが全身ににじむ。

 特別な日だった。昨オフ、古巣復帰前、何度も口説いてきた恩人の誕生日だ。お立ち台でも「ストライク入らなかったなというか。でも、(勝利のカギは)梅野の配球と監督も誕生日。ファンの皆さんと一緒に監督に勝利をプレゼントできてホッとしてます」。かつての火の玉ストレートはない。最速144キロだが、変化球を駆使して試合を作った。藤川はこう言う。「自分を変えられる人が成功しています。いままでのスタイルで『俺はこうだった』という人はみんな、衰退していっている。それが現状」。変わることを恐れず、新しいスタートを切った。【酒井俊作】