<阪神1-5ヤクルト>◇8日◇甲子園
正捕手に成り上がるまで、出て出て出まくってやる。4月27日に育成から支配下選手登録されたばかりの阪神原口文仁捕手(24)が6試合連続のフル出場で主要ローテーション投手を受けた。打撃では2四球と死球に内野安打と全4打席で出塁。奮闘するリードと、脅威の出塁率6割1分8厘を誇るバットで、1軍戦線に生き残る。
ドスンという鈍い音が響いた。4回2死二塁。7番原口がヤクルト原樹から死球を受けた。左手をかすめたボールが腹部に直撃。背番号94は一瞬、顔をしかめたが何事もなかったように肘当てを外し、一塁に歩き始めた。
2回には1ストライクから4球連続でボール球を見極めて四球を選んだ。直後の北條の左前打で一気に三塁を陥れる好走塁。7回にも四球をもぎ取って、高山の右前適時打でホームを踏んだ。1試合3四死球。点差の開いた9回にも三塁への内野安打を放った。出塁率は6割1分8厘まで跳ね上がった。
「そっち(打撃)の方はいいんじゃないですか。(塁に)出られているということなんで」
長打力が魅力の24歳だが、やみくもにバットを振らない。そこが最大の強みだ。外角を突かれてもしっかりと見極める。内角をえぐられても182センチ、86キロの身体は微動だにしないのだ。相手バッテリーにとって、これほど嫌な打者はいない。
試合後は打席のことよりも、1回の失点シーンが頭の中で流れていた。
「2人にやられてしまった感じですね。1球目を狙われた。狙われるというのは配球のミス。これはそこに立ってみて分かること。やっていくしかない」
先発能見の立ち上がり。1死から2番川端に中前打され、3番山田に内角直球を左翼スタンドに運ばれた。7回と9回にも2人の連打から失点につながっただけに悔しさが消えない。3日の中日戦(ナゴヤドーム)から、6試合連続の先発マスク。ローテーション投手全員とコンビを組んだことになる。3戦連続完封勝利の手応えもあれば、10失点大敗の屈辱も味わった。どっしりと安定感のある打撃は非凡。そこに守備の経験値が上がれば…。ほんの2週間前までは川端も山田も間近で見ることがなかった男が、「正捕手」への階段を駆け上がっている。【桝井聡】