広島奪首!浜風3発だ 松山2発5ラン&丸2ラン

8回表広島2死一塁、右越えに2点本塁打を放つ松山。投手高橋(撮影・宮崎幸一)

<阪神5-10広島>◇22日◇甲子園

 浜風に乗って首位再浮上じゃ!! 打線好調の広島が甲子園特有の浜風を味方につけ、今季26度目の2桁安打。前日21日は浜風とは逆方向に吹いた風のドラマの末にサヨナラ負けを喫していたが、3回に4番松山竜平外野手(30)が左翼へ逆転3ラン。前日に風をめぐるシーンに絡んだ安部友裕内野手(26)は2点三塁打と、ともに浜風に乗った打球を放った。10得点を奪い虎を粉砕した鯉が、この日敗れた巨人に代わり、首位に返り咲いた。

 スコアボード上の球団旗は浜風で常に左翼方向へ真っすぐなびいていた。2点ビハインドの3回もそうだった。2死一、二塁。松山が、見逃せばボールとなる高めの「くそボール」を上からたたいた。高く上がった打球を追う左翼高山は、最初に左翼線方向へ走った。その後、ゆっくり後方へ方向転換。気づけばフェンスに行く手を遮られていた。逆転3ラン。松山は「芯で捉えていたし、風にも乗ったので切れずにいってくれた」と喜んだ。

 チームは前日、同点の9回の守備で風に流されたファウル飛球を捕れず、直後にサヨナラ負けを喫していた。その目測を誤った安部が、松山に続いた。空振り三振かと思われた5球目はファウルと判定され打ち直し。直後の6球目だ。捉えた打球はグングンと伸び、中堅フェンス直撃の2点適時三塁打だ。「やらかしたミスは取り返せない」と安部。1日前の悔しい思いは忘れていないが、過去を引きずらず、目の前の戦いに集中していた。4回には、丸が左中間席最前列に8号2ランを運び「入ったのは風のおかげ」と思わずニンマリ。風に泣かされた広島が、この日は風に笑った。

 もちろん、風だけで勝てたわけではない。トドメは浜風関係なしの完璧な1発だ。松山が8回に逆風を切り裂いて右翼席へ2ラン。1試合2発も、左腕からの本塁打もプロ入り初。休養の新井に代わる4番の働きに、緒方監督も「松山の2本にはびっくりした。4番の仕事をしてくれた」と賛辞を贈った。

 チーム打率2割7分5厘、46本塁打、247得点はいずれも両リーグトップ。脅威の破壊力は、ホンモノだ。投手陣は8四球を許して5失点だったが、それをカバーして16試合目の逆転勝利。巨人に代わって、7日以来の首位再浮上だ。混戦模様のセ・リーグのペナントレース。風は今、広島に吹いている。【前原淳】

 ◆21日阪神-広島8回戦VTR 強風が吹いた甲子園で、両軍内野手が飛球を捕れなかった直後に得点が入った。3-1と阪神リードの9回表、阪神遊撃手鳥谷が強風にあおられた打球を懸命に追うも捕球できず、直後に広島代打安部の同点2ランが飛び出した。9回裏は阪神が1死満塁として高山。2球目の三塁邪飛と思われた打球を、今度は三塁に入っていた安部が風の影響で捕球ミス。命拾いした高山が右前へプロ初のサヨナラ打を放った。この試合は風が試合終盤に入り、ホームからセンターへ、さらに右翼方向に流れを変えていた。