西武佐藤、母に「感謝」4年目咲いたプロ1勝

佐藤(左)はウイニングボールを渡される(撮影・下田雄一)

<西武4-1楽天>◇24日◇西武プリンスドーム

 感謝が詰まった初白星だ。西武の4年目左腕、佐藤勇投手(21)が5回3安打無失点の力投でプロ初勝利を挙げた。得点圏に走者を背負いながらも全力投球でホームを踏ませず、チームも4位浮上。今季3度目の先発でつかんだウイニングボールを、女手一つで育ててくれた母久江さん(56)に届けた。

 ウイニングボールを手に、佐藤は言葉をかみしめた。初めて立ったお立ち台。喜びを最初に伝えたい相手は母だった。「今日は球場に来ていないですが、お母さんに伝えたい。自分が今いるのは家族のおかげ。(記念球は)もちろん、お母さんに渡します」。

 1球1球が恩返しだった。小学1年の01年に父が他界。母久江さんに女手一つで育てられた。「小さい頃は、あれ買って、これ買ってとか言ってたんですけど、中学くらいから母がどれだけ苦労しているのか分かってきて」。パートの掛け持ちなどで家計を支える姿に「野球はお金もかかる。続けていいのか」と悩んだ時期もあった。

 それでも中学卒業後に就職した兄の後押しと、母の応援で高校進学を決意。その時買ってもらった硬式用グラブは今、本拠地の1軍ロッカーにある。「(4年目で)やっと持って来られました。自分の宝物ですから」。

 プロ入り後、グラブに刻んだ言葉は「感謝」だった。使い込まれ、文字は読みづらくなったが、その思いが胸から消えることはない。母親や家族、そして支えてくれた全ての人へ、「感謝を絶対に忘れちゃいけない。1軍の舞台でどれだけ恩を返せるか」という決意も込めた。

 その相棒と度重ねるピンチも乗り越えた。2回無死満塁、5回1死一、三塁。「開き直って腕を振るしかない」と最も自信のある直球を軸に臆することなく攻めた。「悔いを残したくなかった」という全力投球でホームを守りきった。

 初白星にも「もっと長いイニングを投げないと、先発としてやっていけない」と引き締めた佐藤。試合後、久江さんへ初めての勝利報告メールを送った。恩返しの道は、始まったばかりだ。【佐竹実】