<日本生命セパ交流戦:広島2-1ソフトバンク>◇5日◇マツダスタジアム
惜しい! 大記録まで、あと30センチ…。「日本生命セ・パ交流戦」のソフトバンク戦で広島が延長12回、丸の中前打でサヨナラ勝ちした。鈴木誠也外野手(21)は9回、サイクル安打達成となるサヨナラ弾には、約30センチ足らなかったが、自身初の1試合5安打で気を吐いた。総力戦の劇的勝利でチームは首位に再浮上した。
同点の9回裏。直球が持ち味のソフトバンク森が、カーブでタイミングを外す。鈴木のバットはトップの位置で止まったまま。しっかりと引き付けて打ち返した打球は左翼方向へ伸びた。本塁打が出ればサヨナラでサイクル安打達成-。快挙の期待がかかった白球は、わずか30センチ及ばずフェンスに阻まれた。
「2死だったので、長打を狙える球に絞っていた。琢朗さん(石井打撃コーチ)に決めて来いと言われていたので、悔しかった」
大記録が目前だったことは試合後、知った。二塁ベース上での苦笑いは勝利を決められなかったから。1回に先制される劣勢の中、打線が打ちあぐねる先発武田から三塁打、二塁打、単打と快音を響かせ、試合の流れを引き留めた。
5月中旬まで打率は2割5分前後を行き来した。フォームの無駄を省くためテークバックを浅くする形にたどり着き、夜中に窓ガラスの前で1人バットを振った。動画では、現役時の落合博満、原辰徳の打撃を繰り返し見た。5月19日から14試合で7度目の複数安打。この日は自身初の1試合5安打で打率を3割1分にまで上げた。志願して1月の自主トレで師事したソフトバンク内川には一塁ベース上で「ユニホームの裾が切れている。だらしないぞ」と身だしなみを指摘された。感謝の思いはバットで示した。
前日まで2試合先発を外れた鈴木の奮起が、延長12回のサヨナラ勝利につながった。緒方監督は「こういう結果を見せてくれたら、明後日(7日)もレギュラーとして出てもらう」と脱帽。首位再浮上のチームとともに、1軍最年少野手が上昇カーブを描き始めた。【前原淳】